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『リーダーを志す君へ』を読んで
「経営の神様」と称された松下幸之助氏が85歳の時、松下政経塾で20代前半の若きリーダー候補たちに語りかけた講演と質疑応答をまとめた本でした。
その記録には、彼の生涯をかけた実体験と、若者たちへの愛情溢れる対話が詰まっており、読むほどに「経営の神様」と呼ばれる所以が実感できる内容です。
特に私が個人的に印象深く感じたのは、松下幸之助氏とある僧侶(占い師)とのエピソードです。
刺しゅう屋から僧侶になり、占い業も営み、色々な企業に経営指南をする方がいたそうです。
彼はある契約先から契約を破棄された影響で全財産を失い、祇園で遊び尽くして無一文になってしまいました。
しかし、その後この僧侶は松下の専属顧問として迎えられ、松下氏のために一生涯、朝夕2時間の祈願を続け、松下氏が亡くなるまでその忠誠を尽くしたといいます。
「人間の弱さ」と「人を惹きつける力」を知らしめる逸話でした。
僧侶風の頭をしている刺しゅう屋の私としては他人事と思えず、しっかりと胸に刻み込んでおこうと思います。
経営者の多くは占いやスピリチュアル、宗教など、目に見えないものへの信仰を持つといわれています。
松下幸之助氏もその一人で、彼は「運」の重要性を強く意識していたのを、講演録を通じ感じ取れます。
ちなみに松下政経塾の卒業生は現在も数多くの政治家として活躍しています。
例えば、野田佳彦氏、高市早苗氏、前原誠司氏、そして最近話題の原口一博氏など、その数は現職議員だけで36名にのぼります。
松下幸之助氏は「無税国家は可能である」と本書でも冒頭に語っています。
増税に爆進中の日本、彼がいたら、どう思われているか‥。
現職議員で卒業生の彼らには是非とも、松下塾長の教えを元に、国家運営に力を尽くしてほしいものです。
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