ジョゼと虎と魚たち
今回は、田辺聖子さんの「ジョゼと虎と魚たち」を読んだので、その感想。
ジョゼと虎と魚たち
田辺聖子
角川文庫
以前、Netflixで本作の映像化をしたアニメ「ジョゼと虎と魚たち」を見て、原作があるということで、読んでみた。
ざっくり言うと、生まれつき下半身が不自由で、家に引きこもり気味だった主人公のジョゼが、大学生の恒夫と出会い、関係を深め、お互いの夢を実現するという話だった。
人と接することに慣れていないジョゼは、恒夫と共に様々な壁を乗り越えて、自分のやりたいこと(夢)を見つけ、さらに恒夫の夢を応援する。
アニメを見ていると、最近の作品かと思っていたが、原作の小説は、1987年(昭和62年)結構古い作品だったことに驚いた。
アニメで現代版にかなり改変されているのではないかと少し心配になったが、全く心配要らなかった。昭和の時代に生きる女性をメインに描いた作品だが、心理的な描写がメインだからか、古さは全く気にならなかった。
どんなに時代が違っても、生活様式は変わっても人の感性や、気持ちは不変のものなんだなと感じる。
この小説は、全てで9つの短編からなる短編集である。
映像化されたのはその中の一つの作品である。全て通して読んでみたが、やはり「ジョゼと虎と魚たち」が個人的には一番好きな話だった。
昭和の時代を生きる、自律した女性がメインテーマのようになっている気がしていて、王道な恋愛ものではない。主人公の考え方に一癖二癖もあって、基本的に人生がうまくいっていない場合が多い。
というよりも、相手の男性が基本的にポンコツか人手なし。女性から見た男性がそうなのかもしれない。
もっと、流れに身を任せた方が、楽な人生が遅れそうな気もするが、自分の理想や信念に従って、ブレることなく生きることは、大切に生きることなんだと思う。
本作に登場する主人公のほとんどが、強かに美しく生きていることに、励まされ、多くの人に読まれる作品なんだと感じた。
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