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国家試験から学ぶ!臨床検査技師の仕事-糖尿病を覗いてみよう!の巻-

明けましておめでとうございます!
本年も当noteをよろしくお願いいたします。

さて、年末年始は完全にボケてました(笑)
何も手を付けずにただただ徒に時間を貪る贅沢な時間としていました…。

さ!気持ちを切り替えて今年も元気よくやっていきましょう!

国家試験から学ぶ!シリーズ!

今回の問題は
第69回臨床検査技師国家試験問題の34問目
です!

それではLet's Go!

問題

誤っているのはどれか。
1.妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が低い
2.HbA1cの生成にはアマドリ転移が関与する。
3.腎臓の糖排泄閾値は160~180 mg/dLである。
4.ムタロターゼはグルコースのα型からβ型への変換を行う。
5.SGLT2<Sodium-glucose co-transporter 2>は近位尿細管に存在する。


簡単な解説

血糖あるいは糖尿病に関する問題ですね。検査値や病態だけではなく、化学変化に関する知識も必要となってくる問題です。細かなところは、裏解答でお話するとしましょう。

血糖つまり血液中の糖(主にグルコース)はエネルギー産生に必要な成分ですよね。妊娠中は2人分必要なので更に需要が増します。できれば血糖値を上げていきたい。そして血糖値を下げるインスリンを減らすor機能を抑えたい(抵抗性を高めたい)ですよね。


解答

正答は

1.妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が低い

です。
誤っているものを選べ、なので間違えないようにしましょう。

裏解答

選択肢にある内容を深掘りしていきましょう。

  1. 簡単な解説参照です。

  2. アマドリ転移とは、主に糖類とアミノ酸の反応(メイラード反応)の初期段階で起こる化学反応です。具体的には、
    糖と相手方のアミノ基が縮合
    →シッフ塩基を形成
    →分子構造が変化
    →アマドリ化合物(ケトアミン)を生成
    ケトアミンは変化しにくい安定な化合物です。この反応によりHbA1cが生成されます。
    また医療のみでなく食品においても重要な役割があります。食品の風味や香り、色の生成にも関わります。

  3. 腎臓では糸球体という毛細血管の毛玉から、血液を濾過して尿を作ります。糖は小さな分子のため濾過されますが、その先の近位尿細管の表面にあるSGLT2という輸送体で尿から99%以上取り戻します(再吸収)。そのため、排泄された尿には糖がでてきません。
    しかし、血糖値が高いと再吸収が追いつかず尿に出てきます。その閾値は160~180 mg/dL以上とされています。

  4. そのまま覚えましょう。

  5. 3.の解説参照です。ちなみにSGLT“2”とありますがSGLT“1”もあります。1はグルコースっぽい分子をひたすら再吸収します。とりあえずたくさん再吸収!てな感じです。2は慎重にグルコースだけ再吸収します。
    糖尿病患者にはSGLT2阻害薬を投与することで糖の再吸収を抑え、尿に吐き出させ血糖値を下げさせます。

余談

糖尿病に関するエピソードをいくつか紹介します。

尿の味を確認して診断していた!?

糖尿病は英語でdiabetesです。語源はラテン語の甘い尿diabetes mellitusです。そんな糖尿病がまだよく知られていなかった時代、医師たちはユニークな方法で診断していました。その方法とは実際に患者の尿を舐めて、甘味があるかどうかを確認していたそうです・・・。現代では考えられないですよね。

飢えさせて糖尿病を治療していた!?

現代ではインスリンや様々な薬が開発され糖尿病治療が進んでいます。しかし過去には極端な食事療法として、飢餓療法が行われていたことがあります。超低炭水化物食や絶食でカロリーを極限まで減らすという、正に荒療治ですね。これを治療と言えるのかは別の話です。

というわけで今回はここまで。
最後までご覧下さりありがとうございました!

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

また次の記事でお会いしましょう!
臨床検査技師のあきまるでしたノシ

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