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国家試験から学ぶ!臨床検査技師の仕事⑨-腎臓と電解質!の巻-
こんにちは!
臨床検査技師のあきまるです!
国家試験から学ぶ!シリーズ第9弾です!
今回の問題は
第69回臨床検査技師国家試験問題の14問目
です!
私の大好きな腎臓に関する問題です。
それではLet's Go!
問題
末期腎不全で認められるのはどれか。2つ選べ。
1. 低リン血症
2. 低カリウム血症
3. 低カルシウム血症
4. 低ナトリウム血症
5. 低マグネシウム血症
簡単な解説
腎臓は、尿を生成しながら
・必要なものを取り戻し(再吸収)
・不要なものを吐き出す(排泄)
という機能をもっています。次の組み合わせで交換する形で再吸収・排泄するものがあります。
ナトリウム(Na)再吸収↔︎カリウム(K)排泄
カルシウム(Ca)再吸収↔︎リン(P)排泄
重炭酸(アルカリ)再吸収↔︎酸排泄
また他に主に再吸収するものは水や糖・アミノ酸、逆に主に排泄するものはマグネシウム(Mg)やアンモニア・薬物があります。
末期腎不全では、Na・Ca・重炭酸・糖・アミノ酸再吸収量が低下し、低○○血症となります。
解答
つまり正答は
3. 低カルシウム血症
5. 低ナトリウム血症
です。
裏解答
腎不全ではK・P・Mgは排泄機能低下により高○○血症となります。
では、再吸収と排泄のメカニズムをみてみましょう。
腎臓の構造
腎臓を細かくみていくと、ネフロンという構造に辿り着きます。ネフロンは次の構造から構成されます。
糸球体:ほっそい血管の毛玉
尿細管:糸球体から腎臓の出口に繋がる管
糸球体には小さな穴が沢山あり、血漿成分が濾過されます。これが尿の素(原尿)です。
原尿は糸球体から続く尿細管に流れます。尿細管を構成する細胞表面には、電解質や水の関所が数多くあります。原尿が流れてくると、関所を介して再吸収と排泄をします。
腎臓の機能
腎臓は尿生成により、老廃物を排泄する役割があります。他にも
水・電解質の調節
骨の調節
貧血の調節
といった機能があります。糸球体は老廃物の排泄を担いますが、尿細管は貧血以外全ての役割を担います。
今回の問題では、尿細管における水分・電解質の調節が論点になります。尿細管は走行部位や構造によって分類されます。再吸収・排泄機能を尿細管の分類とともにみていきましょう。
近位尿細管
糸球体出口から始まる領域です。ここではNaが再吸収されます。同時にグルコースやP、アミノ酸等を再吸収します。一方でNaの再吸収に対して尿細管の外からKを運んで排泄します。
また細胞の隙間から水やCa・Pを含むあらゆる成分が再吸収されます。ヘンレのループ
尿細管周囲の塩分濃度が異様に濃いため、尿細管から水がしみでていきます。塩揉み的なアレです。遠位尿細管
レニン・アンジオテンシン・アルドステロンといったホルモンが作用してNaを再吸収してKを排泄します。
腎臓は肝臓とともにビタミンDを活性化します。活性化されたビタミンDがCaを再吸収してPを排泄させるよう働きます。
腎不全になると、濾過量(原尿)が減ります。すると尿として排泄されるハズの成分が身体にたまります。さらに再吸収機能が低下するため、原尿中の貴重な成分が流れてしまいます。
結果として
K・P・Mg(尿以外で殆ど排泄されない)や酸の血中濃度は高くなり水がたまります。反対にNa・Caや塩基は低くなります。
余談
腎臓って構造が少しややこしくて、機能も色々あって理解するまで時間がかかりますよね。その上、腎臓の病気も名付け方がとっちらかっててこんがらがっちゃいます。勉強するには少しとっつきにくいですが、理解が進むと楽しい領域です。興味をもてたら是非勉強してみて下さい!
ついつい語りすぎちゃうので余談はただの感想にとどめます(笑)
というわけで今回はここまで。
最後までご覧下さりありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう!
臨床検査技師のあきまるでしたノシ