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【ソウルハッカーズ2】考察

初めに

前回、感想を書く中でストーリーの気になる点をいくつか指摘したが、前回記載したもの、前回は記載しなかったもの、前回の記事記載後に気づいたものを含めて、少し考察してみようと思いたったので備忘録。
この手の考察全般に言える事だが、後に続編で否定されたり、設定資料とかで裏設定が公開されて真偽がはっきりしたり、そもそもそこまで深く考えられておらず、こっちがただ深読みしただけのケースってのは多分にある。
まぁだから、正解どうこうって言うより、これは一種の思考ゲーム。
本編で提示されてる情報を元に、矛盾しないように各々の疑問に筋を通せるかという、一種のお遊び的なものです。
その内容から、全力全開でネタバレ有りなので閲覧注意

ストーリーの振り返り(ネタバレ全開)

本編ストーリー

物語の舞台は21世紀中頃とされている。
中頃という表記から考えると、2040-2060年くらいだろうと予測。
前作のSS版発売が1997年なので、前作からの時間は50年前後だろうか。
※前作は特に年代を指定するものは無かったので、発売時期=舞台の年代と仮定
発展する技術やネットワークの中で、人知れずAionという知的存在が誕生。
Aionの誕生が何時頃かの明示はとくに無いので不明。
Aionを一言で説明するなら“自然発生した超高性能AI”というところだろうか。
情報の海=ネットワークに生まれたAionはあらゆる情報を集積、分析しなかがらも、人間社会への介入はしない方針をとっていた。
そのAionがあらゆる情報を分析した結果、世界の破滅を予測。
世界自体が終わってしまってはどうしようもないので、破滅を防ぐ為に人間社会への介入を決定。
それに伴い、3つの人格を作成。
それがフランマ、リンゴ(主人公)、フィグの三名(名?)である。
実際に人類社会への介入役として作られたリンゴとフィグは、人間と同様の肉体を、かなり人間寄りに作られたリンゴとフィグに対してAion寄りの人格としてフランマが存在。
イメージ的には、指揮官がフランマ。現地調査用エージェントがリンゴとフィグという感じ。
そして、リンゴとフィグに伝えられるのは、世界の破滅の鍵となる二人の人物、正確に言うとこの二人の死亡が破滅の鍵となる人物。
国家守護の組織、超國家機関ヤタガラスのサマナーであるアロウ
世界的に有名なコンピュータエンジニアの恩田一郎
この二人の死が破滅の鍵となると聞かされたリンゴとフィグは、リンゴがアロウを、フィグが恩田を保護する為に動きだす。
結論から言うと、どちらも保護対象を保護する事が出来なかった。
リンゴ・フィグが到着時に既にアロウ・恩田は死んでいたのだ。
この時、慎重派のフィグは恩田のダイイングメッセージの確保や、恩田殺害の犯人の特定の為に無効化されていた監視カメラのデータ復元等の方向性に動くが、リンゴはAionにとっても不確定要素の強い“ソウルハック”という力を使い、アロウを蘇生。
蘇生したアロウ曰く、アロウはヤタガラスの所属ではあるが、敵対しているファントムソサエティへ潜入調査を行っていた。そのミッションの目的はミレディというファントムソサエティのエージェントの保護にあるという。
アロウの死が破滅の鍵となる=アロウがミッションをこなせない、つまりミレディを保護出来ない事が破滅の鍵になる可能性もあるため、リンゴとアロウはミレディを保護する為に行動を開始。
しかし、到着が一歩遅れミレディは死んでしまう。
その時、ミレディの身体から“何か”が飛び出し、遅れて現場にやってきていたフィグの身体に入っていったのだ。
前述の通り、ミレディが死んでしまったというのも破滅の鍵になりかねないため、リンゴはまたもソウルハックを利用しミレディを蘇生。
ヤタガラスのアロウ、ファントムソサエティのミレディ
敵対する組織に所属する二人から事情を聞く事となる。

恩田が残した“コヴェナント”というメッセージ。
それは、ミレディが死んだ時に身体出てきた“何か”であった。
このコヴェナントというものは全部で5つあり、それを宿す人間は“才能が開花する”という特性があるそうだが、一人で5つ集めた場合は話が変わる。
一人が5つのコヴェナントを集めた場合“大いなる存在”とやらが世界に降臨し、世界は滅ぶとの事であった。
そして、現在ヤタガラスとファントムソサエティはこのコヴェナントを巡る争いの真っ只中にあるという。
復元された監視カメラの映像から、恩田を殺害し彼の所持していたコヴェナントを奪い取ったのがファントムソサエティの幹部・・・そしてミレディの元彼でもある“鉄仮面”であるという事が判明。
(正確には、鉄仮面が連れていた造魔ゼノンが殺害及びコヴェナントの回収)
これらの情報を聴取した結果、Aionの検知した世界の破滅とは鉄仮面がコヴェナントを集め、それによって起こる大いなる存在の降臨に端を発すると考えたリンゴ達は、ミレディの情報を元に残りのコヴェナント所持者を保護する為に動き出す。

というのが、まぁ導入のストーリー。
コヴェナントにはそれぞれ色があり、赤・黄・緑・青・紫と、虹の7色の内橙と藍以外の5色で表される。
恩田が奪われたのが赤。ミレディからフィグに移ったのが黄、鉄仮面が持っているとされているのが青。緑を持っているのがフリーのサマナーであるサイゾー。紫を持っているのがヤタガラスと協力関係にある葛葉マンゲツ。

全てのストーリー語ると結構長くなっちゃうので、ココからは掻い摘むが
サイゾーの保護に向かうが間に合わず緑はゼノンへ渡る→サイゾーをソウルハックで蘇生し仲間に。
残る紫を持つマンゲツを追うが、コレも間に合わずゼノンへ。→しかもソウルハックによる蘇生を恐れた鉄仮面の考えで、マンゲツは死体すら残さず殺される。(ゼノンが喰った)
コヴェナントの力で超絶強化されているゼノンが強すぎて一旦退却。
造魔の弱点である新月の日に、ゼノンが弱体化している事を祈り襲撃をかけるも、ゼノンはその弱点を克服しており手も足も出ない。
追い詰められたリンゴ達を餌に、鉄仮面はフィグの持つ最後のコヴェナントである黄を寄越すよう脅迫。
フィグがゼノンに貫かれ、死ぬのと同時に黄のコヴェナントがゼノンに吸収されるも、何故かゼノンが弱体化。
弱体化したゼノンをなんとか倒す事に成功するが、倒されたゼノンから飛び出した赤、“青”、黄、緑、紫は全て鉄仮面へ。
しかしその際に、“紫”が壊れるという事態が発生。鉄仮面は逃走。
実は、先程のフィグの肉体はフィグが用意した偽物であり、またそこからゼノンに吸収されたのはフィグがウィルスを仕込んだコヴェナントであった。
つまりフィグは、コヴェナントを自身が死ぬ事無く義体に移していた。
コヴェナントの、所持者の死を経由しない譲渡という特殊過ぎる技能は、コヴェナント研究者である葛葉マンゲツが生み出したものであり、マンゲツのスマホのデータを復元する事でフィグも実行出来た。
また、それだけでなくマンゲツはコヴェナントの偽造、封印の技術まで開発しており、その技術によって紫を助手に譲渡。自らに偽造した紫(偽)を宿していた。
鉄仮面に吸収された時に紫が割れたのは紫が紫(偽)だった為である。
では、本物の紫は誰が持っているのか?それはなんとアロウであった。
マンゲツはアロウに紫を譲渡し、封印を施した。その封印の影響で記憶も混濁したアロウは、そもそも自分がマンゲツの助手であった事も忘れていたのだ。
また、本来鉄仮面が持っているはずの青が何故ゼノンにあったのか。という一同に疑問にミレディが答える。
本物の鉄仮面(ポール)は殺されており、何者かが鉄仮面を名乗っている。だから鉄仮面が持っていたはずの青をゼノンが持っていたという事実と、ミレディが恋仲であったはずの鉄仮面に異常な殺意を持っているのは、本物の鉄仮面を殺した今の鉄仮面への復讐の為であった事が判明
※コヴェナント所持者は、他のコヴェナント所持者が見える。その為、鉄仮面になりすました人間は本来鉄仮面の恋人であるミレディに見られると一発でバレてしまうので、ある時から一切ミレディの前に現れなくなった。まぁコヴェナントの件を抜きにしても、流石に恋人にはバレるだろうしね

アロウの魂の中で、アロウの記憶と紫の封印を解いた一同は、たびたびお世話になった元ヤタガラスエージェントにして、現在は児童養護施設コマドリの先生をしているレイヴンにこれまでの経緯を報告しに行くことに。
しかし、そこでアロウは見てしまう。赤、緑、青、黄を持つレイヴンを。
ミレディの恋人ポールを殺し、鉄仮面を名乗っていたのは、アロウにとって先生であり兄貴分でもあるレイヴンだったのだ。
コマドリを戦場にする訳にもいかず、リンゴ一同とレイヴンは決戦の場所を決めて一度散開。
決戦の場に赴く前に、強敵との戦いで自身が無事で済まない可能性を考えたアロウは自身の紫をフィグに移譲し、フィグをは拠点でお留守番する事に。
場所を変え、鉄仮面(レイヴン)との最終決戦に望む一同。
レイヴン曰く、大いなる存在が降臨することで世界が破滅すると言われているが、実際は破滅の後に新たな世界の再生も行われる。そして、新しい世界の基礎となる魂を選ぶのはコヴェナントを集めた人間だと。
だからレイヴンは、子供達が戦わなくて良い世界を作る為にコヴェナントを集めていたのだと。
※コマドリは、ヤタガラスがバックについている児童養護施設であり、霊的な素質をもつ子供達を集めている。言わばサマナー候補用施設であった

争いの無い世界を望む者同士の戦いは、リンゴ達の勝利となる。
しかし、紫の守護もあり拠点からのバックアップに従事してたはずのフィグが登場。
フィグは、コマドリでの子供達とレイヴンの触れ合う姿や、レイヴンとの交流を経て、レイヴンに特別な感情を持っていた。
死したレイヴンに掛けより、ソウルハックでの蘇生を試みるフィグ。
レイヴンの記憶の中で、レイヴンの凶行に繋がる絶望・・・エージェント時代、悪魔憑きに襲われた村の悪魔を討伐しに来たレイヴンは、悪魔憑きになってしまい殺す以外に方法のない子供をその手にかける。
それこそがレイヴンがエージェントを辞め、争いの無い世界を求める原点であった。
魂の最深部で、レイヴンに手を差し伸べるフィグ。しかしレイヴンはそれを拒絶し、そのまま死ぬ事を選んだ。
※ソウルハックでの蘇生は、強制蘇生ではなくあくまで魂に語り掛け先方の“生きる意思”を引き出すイメージ。アロウ達PTメンバーは“やり残した事”があり、リンゴの手を取ったが、レイヴンはフィグの手を取らなかった

レイヴンは倒れ、コヴェナントは全てリンゴ達一行(というかフィグ)の手に渡り、滅びは回避された・・・かに思えた。
しかしAionは、またも滅びのヴィジョンを演算する。
全てのコヴェナントを手中にしたフィグが、レイヴンの意思を継ぎ“争いのない世界”を作ろうとしているのだ。
舞台は都庁ビル。そこにあるのは恩田が開発したバニシングシステム。
フィグが具体的に何をする気なのか、リンゴは“友達”として話を、アロウ達はリンゴに借りを返す為にも、異界と化した都庁を進む。
途中、ファントムソサエティの大幹部である悪魔アザゼルや、レイヴンに端を発した事件の収束のためにやってきたヤタガラスのホヅミらを退け、フィグの前に立つ一行。
フィグは語る
フィグは、全人類へソウルハックをしかけ魂を作り変える事で、争いのない世界を産もうとしていた。
恩田の開発したバニシングシステムは、簡単に言うと「情報の伝達を一切のタイムラグなく即時に行える」システムである。無論、そのままではあくまでオンラインに接続された機械を相手にするだけのシステムである。だが、そこに人の魂に惹かれるコヴェナントを組み合わせる事で、対象を機械ではなく人間にして、全人類にソウルハックをしようと言うのだ。
そして、リンゴとフィグを通して人間社会を見てきたAionもまた、フィグの行動を肯定していた。
※正確言うと、リンゴもフィグもAionであり、またAion自体も完全に総意としてフィグに加担していた訳でもない。ただ、ラスボス名が“電霊Aion”であった事からも、Aionの力の殆どがフィグ側についていた

なんとかフィグ=電霊Aionを撃破する一行。
ココで諸条件を満たしているとエンディング分岐の選択肢。
条件を満たしていない、ないし“フィグの覚悟を見守る”場合はフィグ消滅エンドに、条件を満たした上で“フィグに手を差し伸べた”場合はフィグ生存エンドとなる。

コヴェナントの所持状況

上記の通り、ストーリーの根幹にあるのはコヴェナントの争奪戦である。
明確な疑問点の解消に移る前に、まず本編の過去を含めて各コヴェナントの所持状況を時系列にまとめてみたい
①本編より1年以上前の時点の“起点”
赤:恩田 黄:ミレディ 緑:サイゾー 紫:マンゲツ 青:舞弓ゲン
※舞弓ゲンはマンゲツの助手。本来のアロウの先輩にあたる。
②本編の1年前に鉄仮面(ポール)がマンゲツの研究所を襲撃し、舞弓ゲンの青を奪う。同時にマンゲツはアロウへコヴェナントの移譲と封印、及び自身へ偽造コヴェナントを宿す
赤:恩田 黄:ミレディ 緑:サイゾー 紫:アロウ 青:ポール 紫(偽):マンゲツ
③本編の少し前(具体的な経過日数は記載が無かったはず)に、ポールとレイヴンが戦闘。ポールが死亡し青は調整中だった造魔ゼノンに。またこの時にレイヴンはポールのコヴェナントと造魔の研究データを拝借し、鉄仮面(偽)となる。つまりミレディと鉄仮面が顔を合わせなくなったのもここからである
赤:恩田 黄:ミレディ 緑:サイゾー 紫:アロウ 青:ゼノン 紫(偽):マンゲツ
④本編直前の恩田殺害から最初のゼノン戦までの間に、ミレディ、サイゾー、マンゲツ死亡(前者二人は後にソウルハックで蘇生)
赤:ゼノン 黄:フィグ 緑:ゼノン 紫:アロウ 青:ゼノン 紫(偽):ゼノン
⑤レイヴンによるリンゴ達を餌にした脅迫からの、フィグの活躍により造魔ゼノンを撃破時(この時、紫(偽)は壊れる)
赤:レイヴン 黄:レイヴン 緑:レイヴン 紫:アロウ 青:レイヴン
⑥レイヴンとの最終決戦に備え、紫をアロウからフィグへ移譲しフィグはバックアップとして留守番(しなかった)
赤:レイヴン 黄:レイヴン 緑:レイヴン 紫:フィグ 青:レイヴン
⑦レイヴン死亡により、全てがフィグに集まる。

うん、スッキリした(自己満足)

疑問点

いくつかあるので、順不同に書き出していきたい。

①破滅の鍵が何故アロウと恩田の死だったのか

前回の感想でも書いたが、何故この二人の死亡が鍵とAionが演算したのだろうか。
確かに両者ともコヴェナントの所持者であり、今回の一件における重要人物ではある。
あるのだが、それだけで言えばサイゾーやミレディも対象となる。
逆の言い方をすれば、サイゾーやミレディは死んでも破滅の鍵とはならない理由を探す事にもなるが。

②Aionが破滅を検知した時期

コヴェナントの争奪戦という形で事態が動き出したのは一年前のポールによるマンゲツの研究所襲撃事件である。
Aionの検知した破滅が本当にコヴェナントの収集による大いなる存在の降臨によるものであれば、実際にポールが動き出したこのタイミングで検知して動き出して良かったのではないか。
逆にこのタイミングで動きださずに、恩田が殺される直前にリンゴ達を動かしたのは何故か。
※解釈として、一年前に検知してから人類社会への介入の是非を検討し、その上でリンゴとフィグ、フランマを作成してる間に1年経過した・・・というのも考えたが、劇中のフランマ(Aion)の万能さを考えるとそれで一年は流石に使わないと筆者は考えた

③ポールは何故造魔ゼノンを用意したのか

ポールの研究を拝借したレイヴン曰く、コヴェナントを集めた人物が、今の世界を壊した後に再生される世界の基礎となる魂を選ぶというものらしい。
それであれば、何故ポールはゼノンを用意していたのだろうか。
普通に考えればポールが5色全て集めるのが一番である。
にも関わらず、コヴェナントの器として造魔ゼノン作成したのは何故か。
自身も青を所持してる以上、最終的にゼノンに集めるには自分もゼノンに殺される必要がある。
※コヴェナントの死を経由しない移譲はマンゲツの長年の研究成果であり、一年そこらの鉄仮面には無理と本編中で言われている

④ファントムソサエティの上層部について

これは前作でもそうだったが、数多くのサマナーを抱える“世界の滅びを求める集団”ファントムソサエティの大幹部は、本作にも出ているアザゼルや、前作ではシェムハザやサタナエルという名だたる大悪魔達で構成されている。
前作時点でも謎ではあったが、今作においてコヴェナントがレイヴンの言う通り“世界を破壊し、再生される世界に任意の魂を選んで運べる”のだとしたら、そんなとんでもねぇモノをサマナー達(人間)に集めさせるメリットは何だろうか。
場合によっては自分達悪魔にとって厄介な事になる可能性の方が遥かに高いと思うので、前作以上に謎が深まった点である。

大体この4個かなぁ
ストーリー描写にツッコミどころは他にもあるが、それはあくまでどちらかと言うと描写や見せ方の問題で、謎が残るって意味では筆者はこの4個だった。

疑問点を解消する為の仮説の検証

さて、この記事の本題。
上記にあげたスッキリしない点を、ゲーム本編で出ている情報に矛盾しない形で筋を通せる屁理屈を考えていこうw

でね?最初は①-④までを個別に考えていこうと想定しており、一つ一つ考えていたのだが、その過程で生まれた一つの仮説が、上記4点の内②③④の3つに一気に筋を通せる仮説である事が判明。
先ずはそれから書いていきます。

仮説①:疑問点②③④に対する仮説

【コヴェナントは人間が集めても、作中で言われている効果を発揮しない】
解説もなにもそのままの意味なのであるが、少し深掘りしていきます。
この仮説を採用した場合、まず④で語ったファントムソサエティの問題はクリア出来る。
何故ならどれだけ人間がコヴェナントを集めても、それで世界を作り変える事が出来ないのなら特にアザゼル達に驚異となる可能性は無いのである。
最も、世界を作り変えるというコヴェナントの効果すらファントムソサエティの研究によってと言われている以上、実はコヴェナントのホントの用途は別にあり、ただ人間達にそれを集めさせる上でファントムソサエティの大幹部である悪魔達が嘘をついていた可能性もある。
ただ、どちらにせよ人間が集めても意味が無い(もしくは影響が小さい)ものであれば、悪魔達が人間のサマナー達を使って収集させていたとしても違和感は無い。
またこの仮説を置く場合、アザゼルが余力を残したまま撤退した意味もなんとなく分かるかなぁと。
要は、コヴェナントは悪魔にしか使えんからまぁ頑張ってみろやw
ってスタンスだとしたらあの余裕もなんとなく分かるでしょ?

更にポールがコヴェナント研究の中でこの事実を知っていたら・・・
そう、③のポールがゼノンを作った理由にもなるのである。
自身が集めても意味がない、かと言ってあの世界において悪魔とサマナーの関係は基本的にビジネスライクなものであると言及されているし、なにより今自分の存在する世界を滅ぼす事になる作戦に協力する悪魔を探すのはかなり厳しい。
だったら、自分で作ってしまえという感じでゼノンの制作を決定したとすれば、一応の筋は通る。
そしてもし、コレをポールが知っていてゼノンを作ったのであれば、当然その研究結果も全て拝借したレイヴンも知っていた事になる。
つまり、レイヴンの目論見はゼノンが倒された時点で頓挫してしまったのだ。
その前提で見ると、湾岸倉庫でのレイヴンとの決戦時、すでに計画は頓挫したレイヴンがリンゴ達一行と相対するシーンは少し違った見方が出来るのではないだろうか(筆者の妄想ですw)

そして、この仮説は②のAionの破滅予測をした時期についても影響を与える。
前述の通り、コヴェナント争奪戦とも言える今回の事態。それの発端になったのは本編の一年前に実行された、ポールとミレディによる葛葉マンゲツの研究所襲撃であり、その際に舞弓ゲンが殺されポールに青が渡っている。
ただ、この時点でAionが破滅を予測しなかったのは、人間がコヴェナントを集めたところで意味は無い(もしくは小さい)からではないか?
この襲撃から本編までの間で、ポールはレイヴンに破れ、青は側の培養槽みたいなカプセルに入ったゼノンに宿る事になる。
逆に言うとこの時点ではまだゼノンはカプセルに入っているので、完全に完成していたとは考え辛い。
その後、本格的にコヴェナントの器としての造魔ゼノンが完成。
それが最後のファクターとなり、Aionが滅びを検知した。
と考えると、一年前の時点でAionが動かなかった理由も納得感が出てくる。

疑問点③の部分で“ポールは人間がコヴェナントを集めても意味がない事を知っていたのでゼノンを作成した”と記載したが、元々人間がコヴェナントを集めても意味が無いことを知っていたのはマンゲツ達であり、それを知らずにコヴェナント収集の為にポールが襲撃し青を得る。しかしその襲撃時に得たマンゲツの研究データから人間が集めても意味が無いことを知りゼノンの作成に着手した・・・と言う形が一番矛盾が少なそう。
だって、もし襲撃前に知ってたのならゼノン完成してから襲撃しろやってなるもんねぇ・・・。

やべぇ、仮説一個で割りとマジで疑問のスッキリしない点の大半に筋を通せたぞ・・・w
しかしながら、最後に残るのがヤツなんだ・・・。

仮説②:疑問点①に対する仮説

滅びの鍵が何故アロウと恩田だったのか。これは流石に前述の仮説ではどうにもならんので、こっちはこっちで考える必要がある。
前回の記事で
“全てはAionが仕組んだ事で、アロウとの接触はコヴェナントの封印を解く為であり、恩田はバニシングシステムを知る為に恩田の元に向かわせた”
という仮説を一応は書いたが、冷静になるとやはりこれはあり得ないと思う。
本編の最終盤。レイヴンを撃破し、フィグの元にコヴェナントが集まった事で、滅びは回避されたと考えていたリンゴが見たのは、最初の滅びとは違う形での滅びのヴィジョンであった。
リンゴやフィグとAionの関係性が、所謂上司部下というような形であれば、Aionが本来のヴィジョンを隠してリンゴ達を動かしていた可能性もあるが、本編中に何度も言われている通り、リンゴやフィグ、フランマとAionの関係はそんな形ではなく“リンゴorフィグorフランマもまたAionである”という形である。
イメージしやすい形に言い換えるなら、総体としての名称がAionであり、その総体が情報収集したり人間社会に介入するための意思を持った触手のような位置がリンゴやフィグなのである。
(触手という表現がどうかとも思ったのだが“端末”だと、構成としては総体から独立して動くので、総体と繋がっている事を表現しようとしたら他に言葉が思いつかなかったw)
この前提に立ち返ると、Aionがリンゴ達を利用して裏で・・・というのはあり得ないし、同じく最終盤においてのフランマのセリフとかを考えると、リンゴとフィグを通して得た情報を元に、Aion総体の中でもフィグ派、リンゴ派と別れたという描写がそのままなのだろう。
しかし、Aionが黒幕ではないのであれば、他の仮説を用意しないと今回の趣旨から外れてしまう。
ずっと“恩田とアロウは~”と考えていたが、一度切り離して考えてみる。
まず、恩田が死ぬ事で何が起こるのか。
一つは、当然の如くコヴェナントが恩田から移る事になる。
ただし、コレは恩田に限らずコヴェナント所有者全員に言える事でもある。
第二にバニシングシステムの件があげられる。
ただ、バニシングシステムは本編の最終盤にフィグによって利用され、全人類のソウルハックに利用されようとしていたが、それはあくまで“結果がそうなった”だけであり、バニシングシステム自体がどうこうって話ではな。
何より、恩田自身が「完成したものには興味は無いから、必要なら持ってけ」と鉄仮面(レイヴン)に言っていたので(コヴェナントの件を考えなければ)そもそも恩田の生死はどっちであれバニシングシステムは使えた可能性が高い。
なにより、バニシングシステムがやべぇって言うなら、むしろ本編よりさらにもうちょい前の時間軸にリンゴ達を作って恩田を排除した方がよっぽど破滅の回避になる。
ということは、バニシングシステム自体はやはり最初にAionが検知した滅びとは関わってこないのだろう。
少し視点を変えて見よう。
恩田を殺害しコヴェナントを奪ったのは鉄仮面(レイヴン)・・・というか、実行犯という意味ではレイヴンが連れていた造魔ゼノンである。
あ・・・閃いたぞ!
・本編中、初めてゼノンと戦闘になった時、ゼノンはコヴェナントを3+1持っていた(+1は偽の紫)
・ゼノンはコヴェナントの力を戦闘に回すように作られている。
・恩田殺害の時点でゼノンには青があり、恩田を殺して赤を手に入れる形になる。
・恩田はコヴェナント所持者の中で、唯一のサマナーではない非戦闘員である。
これから導き出せる仮説は・・・
【恩田は非戦闘員故に、敵に最初に狙われる可能性が高い。恩田殺害前のゼノンは青しか持っていない為、恩田の保護が間に合った場合はゼノンを止められる可能性があった】
という仮説である。
ゲーム的な仕様の話は一旦置いておいて、設定面の話をするなら残りのコヴェナント所持者は全員サマナーである。
敵対組織への潜入調査を任される実力のあるアロウ(所持はバレてないが)
鉄仮面(ポール)のパートナーとして、ヤタガラス側からも警戒されているミレディ
敵対するヤタガラスとファントムの間で上手く立ち回っているフリーサマナーのサイゾー
シリーズ経験者なら名前だけでも「あ・・・」となる葛葉の名を持ち、作中でも最強格のサマナーと言われていた葛葉マンゲツ(所持してたのは偽だが)
うん。どいつもコイツも無傷で倒すのは相当シンドい気がする。
サイゾーは、結果だけ見れば何も出来ずに殺されたが、アレは元カノであるアッシュをレイヴンが利用したからであり、本編のサブクエ等で少しずつ愛を学んでいたレベルのAionが、本編前の段階で愛故の油断なんかを検知出来るとも思えないしね。
こいつらを全員倒していかないといけないなら、俺がレイヴンでもまずは非戦闘員の恩田からコヴェナントを奪い、ゼノンの強化を優先する。
そういう意味でも、ゼノン完成後に最初に狙われるのが恩田である確率は非常に高く、また恩田がコヴェナントを奪われる事はゼノンの強化にも繋がってしまうので、恩田を保護し青しか持っていないゼノンを止める。という意図があったのではないだろうか。

お、恩田が保護対象になったことにちょっとした筋が通ったぞw
さて、問題はアロウの方だ。
アロウはかなり特殊な状態である。
コヴェナント所有者ではあるが、その自覚も無ければ記憶も無く、そもそもアロウにコヴェナントを移譲して封印をしたマンゲツ以外は周りも本人もコヴェナントと関わっている事すら知らないのだ。
ここの争点は、Aionがその“アロウの特殊な状況”を知っていたのかどうかにが鍵になるのではなかろうか。
筆者の結論から言うと、これは知らなかった可能性が高い。
先に述べた、Aion黒幕説を否定するにあたって、もしAionが検知していたのであれば、それをリンゴやフィグに伝えない意味が無いのだ。
また、この事実はマンゲツのスマホのデータを復旧する事で得た情報である。
逆説的になるかもしれないが、Aionは情報の海で生まれたとあるが、破壊された監視カメラのデータ復元やスマホのデータ復元というシーンから考えると情報の海=ネットワーク上に生まれた。だからこそあらゆる情報集積が出来るが、ネットワークに繋がっていないスタンドアロン状態の端末のデータは流石に不可能であり、フィグは監視カメラやスマホの修復、フランマはサブクエでCOMPの修理をしていたのだろう。
つまり、本編描写通りにマンゲツのスマホのデータ修復が出来た時点で知ったと考えるのが妥当だと判断した。
だが、そうなると本編開始時点のAionから見たアロウの特別性は無くなるのだ。
コヴェナント所持者である事を抜きに、当時のアロウを語ると
“超國家機関ヤタガラスの若きエージェントで、敵対組織ファントムソサエティへの潜入調査をしているサマナーである。当時受けていたミッションはファントムソサエティのエージェントであるミレディの保護”
というパーソナリティになる。
うーん・・・
難しく考えないで、本編でリンゴが言っていた説を考えてみる。
つまり、アロウが死ぬ→アロウが受けてたミッションを達成出来ない→受けてたミッションはミレディの保護→つまりアロウが死ぬとミレディも死ぬ事になる。
という理屈である。
いや、でもさ?この理屈が通るならそもそも保護対象を最初からミレディにすれば良いわけで、アロウである意味が無くない?
じゃあ、破滅に向けて動いているのがレイヴンであり、対レイヴンという点でレイヴンの教え子でもあるアロウが切り札になる可能性が高いからアロウを保護対象にした?
いや、この場合はAionが今の鉄仮面がレイヴンである事を認識している前提になるので、上述の通りそれを認識していたのであればリンゴやフィグにそれを伝えない説明がつかない。
それに、愛を知らないAionが教え子だから切り札になるかもという結論をだすとも思えない。
ただのご都合主義・・・で終わらせてしまっては今回の記事の趣旨に反するが、他に筋を通す説明が思いつかねぇぞ・・・。

自己矛盾に遭遇・・・


しかもAionの検知や保護対象設定について考えていたら、とんでもない自己矛盾にぶつかってしまった。
ここまでのAionについて筆者の考察を纏めると
・Aionは黒幕ではない
└リンゴやフィグとの関係性を考えると無理があるから
・Aionは全てを知っている訳ではない
└スタンドアロンの端末のデータ等は修復が必要という点から、あくまでAionが集積出来る情報は何らかの形でオンライン上に存在するものである可能性が高い(リンゴやフィグが人類社会に介入する以前のAion)
・1つ目と被る部分が大きいが、Aionがリンゴやフィグに情報を出し渋る理由がない
└文字通り、滅びを防ぐ為に動いているのであれば情報を小出しにしたり隠したりするのは黒幕でも無い限りあり得ないが、筆者が黒幕説を否定している為、同時にAionはリンゴ達に情報を出し渋る事はあり得ないと考える。
これらを前提とした場合ですね・・・
Aionはコヴェナントを知らないという結論になるんですわ・・・。
何故ならコヴェナントという単語は恩田のダイイングメッセージやアロウの発言から、コヴェナントが何かというのもアロウとミレディからリンゴ達が聞いた話なのである。
その場合、仮説①での疑問点②のAionの検知時期問題もちょっと怪しくなるし、恩田の保護対象化に関しても、単に“非戦闘員だから”だけになるので、ちょっと説得力が足りない感じになるんですよねぇ

いや、でもあれか?
もし自分の仮説が本当に正しかった場合、ゼノンのバックボーンとか全て知った上でなら、そもそもアロウや恩田を保護対象という形に指示を出すのではなく、最初からゼノンの討伐っていう指示で良かった訳だ。
しかしAionの指示はアロウと恩田の保護という指示であり、直接的な原因排除では無かった。
そうなると、やっぱりAionは“やべぇこのままだと原因分からねぇけどなんか世界滅ぶわ”くらいの検知だったのだろう・・・
恩田に関しては、それでもまだその検知と近しいタイミングで、人類社会における世紀の大発明であるバニシングシステムを完成させている事から
「この技術が破滅に関わる可能性ありそうだから保護しとけ」
という感じでAionが選出した可能性がある。
だが、このケースの場合アロウの選出が結局謎だらけなのだ・・・。
Aionの未来演算は、事実と情報の集積、及び思考バイアスに囚われる事無く情報の見通しが出来る事による“演算”であって“予知”では無い。
だからこそ、某型月の千里眼のように“ただ見えた”という訳ではなく、何かしらその結果に繋がるファクターがあったと思っているのだが、それが導きだせねぇ・・・。
最大限の拡大解釈をして
・それ(コヴェナント)が何かは分からんがやべぇものらしい
・それ(コヴェナント)は人間が集めても意味が無い(もしくは影響が少ない)が、人間が以外が集めると危ないっぽい
だけ分かっていたとしても、それはそれで最初の疑問である
なぜ“鍵は恩田とアロウの死”に繋がるのかが分からん。

一筋の光明

いや、まて。自分のここまでの文章を見直しつつ、ゲーム本編の描写を思い返してみた。
本編開始時点でのコヴェナント所持者は
赤:恩田 黄:ミレディ 緑:サイゾー 紫:アロウ 青:ゼノン 紫(偽):マンゲツ
である。
前述した通り、詳細はともかくゼノンの存在がヤバいというのが分かっていたのであれば、ゼノンの青は保護対象にはなり得ない。
とすると、残りのはミレディとサイゾーとアロウと恩田(と一応マンゲツ)である。
ゲーム中は分からなくなるが、この中で恩田以外はみんな裏社会の住人(サマナー)である。
逆に言えば恩田は表の世界で住人であり、世界最高クラスのコンピューターエンジニアであるから、普通に考えたらネットワークの中で情報を得る事は難しくないだろう。
逆にそれ以外のメンツは一般には秘匿されている集団なので、存在が表立っておらずネットワークの情報収集では限界があったのでは・・・?
だとしたらアロウはなぜ?となるのであるが、ここは本編描写の一つを思い返してほしい。
マンゲツはアロウにコヴェナントを移譲した後、アロウの知らないところでアロウの行動を監視していた。
マンゲツの隠れ家には、アロウの隠し撮り写真や、地図にアロウの移動経路と思わしく線も引かれていた。
つまり、アロウを監視する上で監視カメラのハッキング等を行ったのではないだろうか。
それであれば、ネットワーク上の情報を集積するAionに
「なんかこいつめっちゃ監視されてるんだけど、重要人物なんじゃね?」
と思われたとしても不思議は・・・
うん、苦しい言い訳なのは重々承知w

結局のところ

申し訳ない・・・限界だw
疑問点③④に関しては、我ながら仮説①でキレイに筋が通ったかなぁと思っている。
しかし、疑問点①②のようにAionが絡み始めると途端に矛盾にぶつかる。
Aionが全知的なものであれば、そもそも最初からもっと情報を出すべきだし、もっと言えば(結果どうなったかは別として)ゼノンの排除という方向性で動かすのが一番てっとり早いし、本編初期の機械的に効率を求めるAionならばそうなると思う。
しかしそうではなく、本編の描写通りAionにとってもわからん事だらけなのであれば、一体何をファクターにして滅びを検知したのか、そして何を参照してアロウと恩田の保護が最初のミッションになったのか。
どっちをとっても矛盾にぶつかるというのは、つまり前提が間違っているのだろうか。
情報の海で自然発生した=ネットワーク上に産まれたという解釈が間違い?
本編で散々言われていた“リンゴorフィグもAion”というのがミスリードで、やはりAionが黒幕?(ミスリードにしては伏線がなさ過ぎる)

分からん!!!w
今暫く、合間を見て考えてみて進展があれば追記するのでひとまず今回の考察はここまで
尻切れトンボでホントにごめんなさい。
もし気まぐれにコレを読んだ人で、何か新しい仮説を思いついた方がいたら是非教えて下さい。

余談

仮説①で【コヴェナントは人間が集めても、作中で言われている効果を発揮しない】という仮説を立てたのだが、その仮説を前提として更に踏み込んだ妄想をしてみた。
コヴェナントは虹の7色の内、橙と藍を除いた5色で構成されているのは本編中の描写でもあった。
そして、大いなる存在との契約の“虹”が元に~的な話もあった。
つまり、コヴェナントとは本来7色あるのではないだろうか?
ただ、橙と藍が何らかの事情で失われている為、結局全て集まる事は無い
とか
人間社会にあるのが5色で、橙と藍は悪魔達の方にある
とか
あとは逆に、実はそれぞれのコヴェナントは人類の進化の度合いを表していて、例えば遥か昔の人類の祖先が火を使う事を覚えた時に1つ目のコヴェナントが産まれ・・・みたいな、人類の進歩の節目毎に増えておりそれが本編の時間軸において5個だった。後2つのコヴェナントを生み出すまでに人類が進歩した時には、人類が“大いなる存在”として・・・的な?

最後のはかなり飛躍しているが、要は実は橙と藍のコヴェナントもあるんだぜ説である。

考察(妄想)は楽しいねぇ!w

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