「同じアジアでこんなにも違うの?」フランスの美食家たちが体験した日本食に大驚愕した理由とは?
フランス人のエリックさんは、
フランスで飲食店を複数経営している
凄腕の実業家。
職業柄美味しい料理に目がなく、
美食家としても有名でした。
彼の周りには同じように
美食家の友人が複数いて、
話題の料理店の噂を耳にすると、
5人ほどで連れだって
食べに出かける習慣がありました。
ある日、仲間の1人が
「この前パリにできた
日本食レストランが残念だった」と話しました。
「味も見た目もお粗末な感じだった」
と続ける仲間に、他の仲間が
「日本料理屋と謳っていても、
実際は中国人や韓国人がオーナーの
店も多いそうだ」と言います。
そこで、どうせなら本場の味を体験しようと
思い立ち、みんなでアジア各国に
足を運んでみることにしたのです。
行き先は中国、韓国、そして最後に
日本の順番に回ることになりました。
最初に訪れた中国は、
フランス料理と並んで
世界三大料理に数えられる
中国料理の地。
世界で高い評価を得ているだけあって、
その歴史と種類の豊富さは
フランス料理に引けを取りません。
北方系の山東料理は
味が濃く塩味が強い味付けが特徴で、
代表的な料理にジャージャー麺や
北京ダッグなどがあります。
南方系と言われるのが広東料理などで、
素材の味を活かすような、
海老蒸餃子やフカヒレスープといった、
薄味の味付けになっています。
西方系では四川料理などが有名で、
香辛料を多く使い、辛味の強い
麻婆豆腐などが知られています。
そして、東方系が上海料理や浙江料理などで、
甘味が強めな味付けで、
八宝菜や上海ガニなどが有名ですね。
フランス料理にはそもそも唐辛子を
使用するような料理はなく、
そのため、フランス人である
エリックさんたちにとって、
中華料理の定番と言える辛みは
とても耐えられたかったようです。
最も辛いとされる四川料理の
火鍋を楽しみにしていたものの、
半分以上食べられずに
残すことになってしまいました。
とはいえほとんどの料理を、
楽しむことができたようでしたが、
彼らには味よりも
気になることが多かったそうです。
それは、ホテルに出店しているような
高級店以外の場所、
例えば街中の食堂などの場合、
メニュー表に値段の記載がなかったり、
提供される料理が写真とは
全く異なる盛り付けだったり、
料理の部分に指が触れた状態で
運ばれてきたりと、
料理が適切に提供されない場面が
よくあったのだとか。
フランス料理の繊細な盛り付けや
サービスに慣れているエリックたちには、
かなり抵抗がありました。
ただ、料理の味に関しては、
さすが世界三大料理と言われるだけあって、
店のグレードに関わらず
満足のいくものが多かったそうです。
中国料理を堪能したエリックさん一行は、
次の目的地である
韓国を目指しました。
韓国料理にはあまり馴染みがなかった彼らは、
事前情報だけを頼りに
料理に挑みました。
韓国料理といえば、中国同様
唐辛子を使った料理が多く、
しかも中国料理ほど
種類豊富ではありません。
中国で洗礼を受けた
四川料理の上を行く辛味に、
エリックさんたちは悶絶。
また、味自体に不満はなかったものの、
一品の量が多く、1度の食事で
複数の種類を楽しむことが
出来ないことが不満でした。
さらに衛生環境も悪く、
料理の中に髪の毛や何かの破片が
混入していることがあったそうです。
街中の屋台では、
明らかに地元の人と違う価格を
請求されたりしたこともあり、
料理というよりも、韓国への印象が
悪くなってしまったそうです。
出発前に調べた情報では
良い印象を持っていただけに、
残念な体験をしてしまったことが
尾を引いてしまい、
最後の目的地、日本でも同様のことが
起こるのではないかという不安が
拭えませんでした。
そんな思いを抱えてやってきた日本。
日本での最初の夕食には、
グレードの高い懐石料理店を
予約していました。
美しく盛りつけられた料理に、
一同はとても感動。
「どうだいこの彩りの美しさ!
フランス料理もとても大切にしているが、
日本の料理も全く引けを
取らないじゃないか」
「食材自体が持つ味や
食感を最大限にいかした調理方法。
私たちはこういう料理が
食べたかったんだよ!」
と、エリックさんたちは口々に
料理を称賛したそうです。
高級店なので
当たり前だったのかもしれませんが、
清潔で静かな店内で、
洗練された料理を味わうことができ、
皆一様に食事を楽しみました。
次の日は、観光で訪れた先の
小さなお店を利用することに。
そこはいわゆる
定食屋というジャンルのお店で、
古い木造建築の内装でしたが、
店内は清掃が行き届いており、
清潔感が感じられました。
席につきメニューを広げると、
定食という名の横に、
1つのトレーに色々な料理が
乗っている写真が目に入ります。
1品ずつ提供されるフランス料理に
慣れているエリックさんたちにとっては、
このようなスタイルは
経験がありませんでした。
そして、オーダーを取っていたスタッフが
何やら質問してくるのをよく聞くと、
どうやらご飯の量について
聞いているようです。
お腹が空いていたエリックさんは大盛を、
他のメンバーは少なめ、普通と、
それぞれバラバラにオーダー。
スタッフは嫌な顔ひとつ見せず、
笑顔で注文を受けていきました。
そして、どれ1つとして違えることなく、
希望通りに提供してくれたのです。
1人1人のニーズに答える心遣い、
そしてオーダーのミスもなく
きちんと提供できることに、
エリックさんたちは驚きを通り越して
感銘を受けました。
しかも、料理の盛り付けも
素晴らしいの一言。
シンプルながらも美しく、
料理にあった器に盛られていることで
食欲をそそられます。
味も素材を生かした薄味で、
野菜と魚や肉のバランスも絶妙。
このレベルの料理を、
至って普通の料理店で
提供されることに、
エリックさんたちは
信じられない思いだったと言います。
日本人の食に対する意識の高さに、
感動すら覚えたそうです。
アジア3カ国を旅した
フランスの美食家たち。
どの国の料理も
それぞれの魅力がありますが、
日本は他の2国と
全く異なる食文化があることに、
とても驚いたようでした。
日本は味のバランスや彩、
四季を感じられるような盛り付けなど、
食に対する意識が高いと言えます。
そんな日本の食文化は、
フランスの美食家たちにも
受け入れられたようですね。
「同じアジアなのにここまで違うとは」
と、舌の肥えたフランス人を
大満足させた日本の料理。
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