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髙梯子

高い高い梯子の上から見下ろすと、世界が丸く見えた。

雲が僕の下を過ぎ去る、何十にも雲が重なって見えてる。この登ってきた梯子の舌先には僕の部屋があるはずだ。よく目を凝らしても、雲が邪魔をしてくる。(それは問題ではない)
よくここまで登って来れたのだと自分は自慢げになっていた。こんなところまで普通の人は絶対に来れない。誰も俺に勝てないのだと、。
早く戻ってみんなに伝えたいという気持ちが出てきたのだが、どう降りるのか見当がつかなくなっていた。僕は登っている間、常に上しか見ていなかった。だが帰りは、下を確認しなくてはいけない。とても耐えられない。先をなんで見てなかったのだろうか。なぜ何も考えてなかったのだろう。

もうどうにもできないや。突き進むのなんて誰でも本当はできたんだ。何もすごくなかったんだ。だけど、この孤独と絶望が、このなんとも言えないこの衝動が、僕の手を引き離すことを選ばしてくるんだ。こんな綺麗なところに迎え入れられるのならここにいる絶望よりもましだと。ゆっくりと小指から梯子を掴む力を無くしていった。手のひらが少し擦れて痛い。僕はずっと梯子を見ている。もうそろそろ自分がいなくなってしまうのに、何も怖くなかった。だけど、手は震えていた。怖くないよ、なんで怖がってるのと手に語りかけてみる。早い、早いよ終わる時は、。









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