「手術は無事、成功しました」 「本当ですか?」 「本当です。成功です。本当に成功、ですぅ」 良かった。 「麻友子……」 私はベッドに寝ている麻友子に声をかける。 麻友子は安らかにまだ眠っている。 「まだ麻酔がきいてますからねぇ」 あ、そっか。 「先生、先生になんていったら。本当にありがとうございます」 私は先生に感謝の言葉をのべならが、涙ぐんでしまう。 本当に、良かった。 奇跡って本当に起こるんだという喜びと、今までの不安がきえて安堵にかわり、涙が止まら
前略 忍野さくら様。 ご無沙汰しております。 何年ぶりでしょうか。 私は今まで同窓会に出たことはないですし、みなさまとも、極力会わないようにしてきました。 なので、今、こうして手紙を書いていることが、ものすごい不安でしかたありません。 本来は手紙などではなく、直接会うべきなのでしょう。 しかし、私には、その勇気がありませんでした。 きっと私のことを今でも憎んでいることでしょう。 いえ、憎むのにも値しないのかもしれません。 これは、私の懺悔です。 こんな長い手紙
父親が死んだ。 死んだと言っても、悲しみもなにもない。 もう、会わなくなって、何年たつのかのもわからない。 計算するのも億劫だ。 どうしようもない人だったのだろうなと思う。 お父さんと呼んだ記憶もないし、父親とも認めていない。 小さい頃に、母親と別れてそれっきりだ。 この人の人生はなんだったのだろうかとも思う。 が、興味はない。 きっと、だらしない生活をしたのは簡単に予想がつく。 酒とギャンブルが原因で別れたと何度も聞かされた。 だから、私は酒もギャンブルもま
ねぇ、知ってる? 究極の選択。 たとえば 『ウンコ味のカレーと カレー味のウンコ。 どちらかを食べなければいけないとしたら、どっちを食べる?』 選べるわけがない? どっちもウンコでしょって? ううん 答えは簡単。 カレー味のウンコ。 えっ? ウンコなのにって? よく考えてみて。 条件をつければいいの。 カレー味のウンコ、というなら、どこからどうみても正真正銘カレーじゃないとだめ。 味も匂いも見た目も、すべてにおいて、限りなく、まったく見分けがつかないくらいにね。