
資産はドルにしておくのが正解でしょ _今後、円高の可能性は低そう
下の図は、4月から11月21日までの円ドル推移と、米国10年金利の推移を重ねたものです。

3月4月はドル円の動きと金利の動きが連動していましたが、5月6月7月は連動性がなくなり、8月からは円と金利はふたたび連動するようになっています。
少し詳しく見てみましょう。
3月19日、4月26日の日銀の動きを受けて、円ドルが金利との連動性から外れて、数日するとまた元の線に戻っています。

この円ドルの動きは、為替ディーラーが「日米金利差は大きいままなので、安心して円をドルに換えられる」と判断したからだと思われます。そして、そのことは『日銀が金融緩和姿勢を続けると、円安になる』という傾向があるということだと考えられます。
今度は8月以降の動きを見てみましょう。
同じように『日銀が金融緩和姿勢を続けると、円安になる』という傾向が見られ、10月3日以降は金利の線(オレンジ)と円ドルの線(青)との乖離が続いています。

右の散布図でわかるように、3月4月頃と比べて乖離は2円ほどになっています。
この乖離に注目すると、以下ようにまとめることができます。

(青字の方は、観察結果ですが、オレンジの方は観察からの予測を含みます)
このように、日銀の動きによって為替相場が動いていると解釈できます。
次に、円相場を動かす主役の『米国の金利』がどうなって行くかを考えてみます。

当面(今後1~2年)、米国の10年国債金利は4%程度が続くと思われます。
ここまでをまとめます。
日銀が適切に政策金利を上げる場合は、米国金利と円ドルは連動し、150円を中心とした相場で安定すると予想します。(オレンジの安定シナリオ)

一方、日銀の政策金利の上げ方が足りないと市場が判断する場合は、乖離が大きくなり、170円もあり得ると予想します。(青の円安シナリオ)
なお、日銀の政策金利の上げ方が市場の予想を上回ることはほぼないと考えています。その理由はこちら↓
また、①米国の10年金利が大きく低下することはなさそうなことと、②金利と円が乖離する方向が円安に限られることから、120円というような円高はもう二度と来ないと予想します。
さて、150円シナリオと170円シナリオと2つの可能性がありますが、それぞれどれくらいの可能性があるのでしょうか。私は150円が60%、170円が40%と予想しています。すると、資産を円からドルにしておけば、
・特に損はしない(150円シナリオ):6割
・13%ほど資産が増える(170円シナリオ):4割
ということになります。
橘玲氏の為替リスクの考え方
「新・臆病者のための株入門」(橘玲著)という新書があります。

この新書に、為替リスクについて書いてあるところがあります。

つまり、
円高になった時に損をすること(為替リスク)を恐れて、円に投資しかしない場合、世界経済の成長の恩恵を受けることができない。だから、95%を外貨で運用するべき
ということです。
私はこの橘氏の主張に加えて、
「当面、円高になる可能性はほぼないと思われる」ので、(可能な範囲で)外貨(ドル)で運用して世界経済の成長の恩恵を受けた方が良いと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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