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オルカンもいいけど、こちらもいかが?  この国の成長に期待して投資する

2024年11月にこの記事 ↓ を書きました。今回はその続きです。

この記事では ”第三の波「情報化社会」”が世の中を変え、そこで生まれた「富」が株価を押し上げている” と述べたうえで、
”言論の自由、教育の充実のあるASEAN、インドなどが、投資対象候補として残る” としていました。

1.人口ボーナス

先ず、各国の人口ピラミッドを見てみましょう。なお、国名の後ろの数字は出生率です。

図出所:GLOBAL NOTE 国際統計

フィリピンが底辺の広いピラミッド型で、インドネシア、インド、ベトナムは釣鐘型です。マレーシアやタイは意外に底辺が狭くなっています。出生率の数字もその順番になっていて、出生率の数字だけ判断することもできそうです。

比較のために、中国、米国、日本、台湾を載せました。台湾は日本以上に少子化が進んでいるようです。

ここで「人口ボーナス」について、考えてみましょう。マレーシアを例にしてみます。

赤と青のヒストグラムに対して、20年後は点線に示したようなヒストグラムになることは、ほぼ確実です。

20歳から60歳くらいまでの「仕事をして稼ぎのある人(≃生産年齢人口)」の変化に色を付けてみました。20年後にはピンクの部分が増えるはずです。緑の部分が減りますが、差し引きでかなり増加すると予想できます。
稼ぎのある人が増えると、その分だけ何かを買うことが増えて、経済全体が大きくなります。これが人口ボーナスです。
同様に各国の20年後を予想すると、人口ボーナス(=経済成長)が大きいのは、1位フィリピン、2位インドネシア、3位インド、4位ベトナム、5位マレーシアと考えられます。

2.一人当たりGDP

下の図は、マレーシアとフィリピンの一人当たりGDPが年を追って増えていく様子です。一見すると、両国の差が開いているように見えます。

データ出所:世界経済のネタ帳

途中で切れているベージュの線を見てください。この線は、フィリピンの2005年以降の数字を、25年前にずらして1980年からプロットしてみたものです。すると、マレーシアの線と重なってくるのがわかります。
ということは、「フィリピンの豊かさはマレーシアを25年遅れて追いかけている」「今のフィリピンは25年前のマレーシアの豊かさに近い」と認識できます。
すなわち、「フィリピンは差を広げられているのではなく、順調に追いかけている」と思われます。
また、①安い人件費を武器にできる、②お手本を真似れば良いのでよけいなことをしないで済むなどの理由から、追いかける方(=一人当たりGDPが低い方)が、経済成長率は高いことが多いと思われます。

3.どの国が成長する?

「一人当たりGDP」を横軸にとって、出生率(=人口ボーナスの期待度)をプロットしてみました。

一人当たりGDPが高くなる(豊かになる)ほど、出生率が低下する傾向があります(①)。

<①の傾向はどの国もあてはまる>
社会が豊かになるほど、女性が社会で稼げるようになります。その結果、子供を持つことよりもキャリアを優先することが増え、出生率が下がるからだと言われています。よって、政策などで出生率を上げることは困難で、どの国もこの傾向にあてはまると考えられます。


出生率が高い国(Ⓐ)も、低い国(Ⓑ)も経済成長して、一人当たりGDPは伸びていきますが、高い国の方が人口ボーナスを享受できるので、高い経済成長率が期待できます。
よって、Ⓐ群のフィリピン、インドネシア、マレーシアが、今後の経済成長率が高そうと推定できます。

4.株価チャート

今後の経済成長が期待できそうなフィリピン、インドネシア、マレーシアについて、平均株価の推移を見てみましょう。そこにPER(株価収益率・オレンジの棒グラフ)を重ねてみます。

出所:株価はInvesting.com/PERはWORLD PE RAITO


出所:株価はInvesting.com/PERはWORLD PE RAITO


出所:株価はInvesting.com/PERはWORLD PE RAITO

3か国とも2008年のリーマンショックの谷があって、そこから株価が上昇しています。しかし、フィリピンは2018年頃がピークになっていて、インドネシアは現在が最も高く、マレーシアの株価は伸び悩んでいて、株価の推移はそれぞれです。
一方、PERを見てみると、
・フィリピンは18~19あったのが、最近は10~12と低くなっている
・インドネシアは15~16あったのが、最近は11~12と低め
・マレーシアは13~15で変わらない
いずれも、日経平均のPER 14~16や、インドSENSEXの 22~25、米国S&P500の27~29などと比べて低いと言えます。一般に成長期待が大きいほど、PERは高くなることを考えると、3か国とも割安だと考えられます。特にフィリピンの現状の10~12は、ほぼ底値なのではないかと思われます。

5.株の買い方(例)

フィリピンの平均株価PSEiに投資するなら、『iShares MSCI Philippines ETF (EPHE)』というETFを買えば良く、多くの証券会社が取り扱っているはずです。しかし、このETFの利回りは2.27%とあまり高くありません。フィリピンの今後の経済成長に投資するのだから、利回りは高くなくても良いとも言えますが・・・

成長と利回りの両取りが狙える方法を紹介します。
フィリピンの国民所得の上昇に伴って収益が増える業種であり、且つ高い配当を出している企業があります。

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