バフェットはアップル株を“さらに”売ったらしい 付録:大統領選の分析
日経新聞の11月3日の朝刊に、こんな記事が載っていました。
バフェット氏投資会社(バークシャー・ハザウェイ)が、アップル株を25%追加売却した、ということです。
Berkshire Hathaway Inc.の四半期報告(10-Q)を見てみると、今年6月末のApple株の保有額は、$ 84.2 billion(約12.8兆円)でしたが、9月末には$ 69.9 billion(約10.6兆円)に減っています。
日経の記事にも書いてありますが、6月末よりも9月末の方がApple株の単価は高いので、株数としては25%減らしたということになります。
2023年からの推移を見てみると、以下のようで
Apple株を減らした分は、米国短期国債への短期投資(Short-term investments in U.S. Treasury Bills)が増えています。
米国短期国債(Treasury Bills)とは、満期が1年未満の国債で、銀行に現金を置いておくよりは有利な利回りで運用しているということです。短期国債は売買する市場があるので、株を買う資金が必要な時には、すぐに現金化できます。すなわち、この短期国債は「待機資金」と言えます。(日経の記事では“手元資金”と表現)
この変化を円グラフにしてみました。
Apple株を売り始める前(2023年末)には、36%がApple株で、待機資金は27%でした。バークシャーハザウェイのポートフォリオとして、待機資金はこれくらいが通常だと思われます。
現在(2024年9月末)は、株式全部よりも待機資金の方が多くなっていて、異例と言えます。
「近い将来の株式の暴落の可能性がある。それ備えている」のかもしれません。
「短期国債の利回り(4~5%)は、Apple株の配当(0.44%)よりも多いので、今後しばらく値上がりしないApple株を持っているよりも有利」というだけでは説明がつかないように思います。
大統領選の分析
こうすれば、ハリスは勝てた?!
大統領選の州別の結果です。
トランプが取った州が赤い共和党の色に染まっています。
ハリスが取った州は、東西の両岸と少しだけで、特に面積で完敗です。
下の図は各州の収入レベルで色分けした地図です。
ピンクのNY(ニューヨーク)MA(マサチューセッツ)CA(カリフォルニア)WA(ワシントン)が最も収入が高く、次に青のNH(ニューハンプシャー)CT(コネチカット)NJ(ニュージャージー)MD(メリーランド)VA(バージニア)IL(イリノイ)CO(コロラド)が収入の高い州です。
大統領選の結果と比べてみると、
ピンク:ハリスが4勝0敗
青 :ハリスが7勝0敗
となっています。上位11州はすべてハリスが勝っています。
さらに、ピンクの4州の結果を見てみると、いずれも接戦ではなく、ハリスの圧勝です。
結果的にトランプが勝ったのに、アメリカの収入が平均よりも高い人たちは、圧倒的にハリスを支持しているということとは、
トランプが当選した理由は アメリカの低所得者から支持を受けたから という面が非常に大きいと解釈するべきでしょう。
トランプが当選した理由(推定)を図にしてみました。
グローバル化などによって収入が伸びないという不満に対して、トランプが掲げる政策が賛同を集めたということだと思われます。
マスコミでいろいろな分析が行われていて、民主党内で戦犯探しなどが行われているようですが、結局は
「収入が増えない」という問題に対して、トランプの方が何とかしてくれそうに見えた
というのが本質ではないでしょうか。
中絶の問題など、マスコミは「分断だ」などと煽っていますが、そうではなく、経済の問題なのだと思われます。
もしそうだとすると、民主党の候補であっても、女性であっても、経済の問題を解決してくれそうな人であれば、大統領に選ばれる可能性があるということが言えると思います。
ということは、「我々の収入が増えそうだ」と思わせる政策(例えば、関税を上げる)をかかげれば、ハリスは勝てたのではないでしょうか。
また、分断や民主主義の後退についても、それほど恐れる必要はないのかもしれません。
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