ちょっと不思議な話 お墓参りにて
結婚してから初めて旦那の家のお墓参りに行った。
小高い丘の上にあるその墓地は、その土地が良く見渡せる。
よく晴れていたが強風で、ろうそくも線香もマッチでは火が
点かなかった。日傘の中やお墓の隙間で火を点けようとしても、
マッチの頼りない火はふっと消えてしまう。そうしてマッチを10本ほど
無駄にした。
仕方ないのですでに生けられていた仏花の水だけ替えて、帰ることに。
水場で新しい水に入れ替えた花瓶を元に戻し、悪戦苦闘した結果のマッチの残骸を濡らしたティッシュペーパーにくるんで、ふとろうそくが足りないことに気がついた。
お墓の隙間で最後に火を点けようとあがいて、あきらめてそこに置いたままにしておいたはずのろうそくが1本ない。
風に飛ばされた、と旦那はいう。
小さめといえど、ろうそく。そう遠くには飛んでいかないと思うけれど。
足元もお墓の周りを探しても見つかることはなかった。
ここは墓地。
ご先祖様たちが初めて来た私にあいさつしてくれたのかな、
と思うことにした。