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あとで読む・第49回・季刊誌『kotoba』56号(2024年夏号)特集「喫茶店と本」(集英社、2024年)

以前の職場の同僚で、いまは同じ中央線沿線に住む友人のAさんから、たまに思い出したようにメールをいただく。専門分野はまったく異なるが、なぜかむかしからウマが合った。私が好きそうなものに出会った折に、私のことを思い出してくれるのだろう。今日も久しぶりにメールをいただいた。ご本人の語り口そのままに、軽妙でユーモアあふれる内容で、いただいたメールそのものが「作品」といってもいいのだが、私だけを念頭に置いて書いてくれたメールなので、まさか全文を引用するわけにもいかず、さわりだけ引用させていただくことをお許しいただきたい。

「集英社の季刊誌kotobaという雑誌の最新号が、「喫茶店と本」という特集を組んでいますが読みましたでしょうか。三上さんや私を遠くから狙撃するかのような特集で(笑)、増田書店で見てすぐ買いました。今までも、「ビートルズ」「シャーロック・ホームズ」という特集に、射的の的のように手もなく斃れたことがあります」

「喫茶店と本」!これほど相性のよい組み合わせはない。たしかに「遠くから狙撃される」ような特集である。あるいは私のイメージは「遠くから矢で射ぬかれる」という、黒澤明監督の映画『蜘蛛巣城』の三船敏郎のような心境でもある。あっ、あれは射ぬかれていなかったっけ?
バックナンバーにある「ビートルズ」や「シャーロック・ホームズ」の特集も、Aさんにはたまらないだろう。もちろん私も、少年のときの読書体験で「シャーロックホームズ」の洗礼を受けたのだが、その後はすっかり遠のいてしまっていた。最近になって、私はAさんから「シャーロックホームズ」の面白さをあらためて教わったクチである。
それを国立の増田書店で買い求めたというのもいい。増田書店は私の青春時代の書店である。

メールの中では、今日は国分寺の古本屋を久しぶりに訪れたとあり、以前国分寺で会った際に、駅とかではなく、七七舎という古本屋で待ち合わせをしたという思い出も書いてあった。私もよく覚えている。それ以来、「待ち合わせは書店(古書店)にかぎる」という知恵を身につけた。もっとも、それを実践する機会はまったくないのだが。

次に会うときは増田書店で待ち合わせるのがいいんじゃないか?そのあとロージナ茶房に行こう、Aさん。

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