スーツケースに心をこめて⑧
今日で、旅行の5日目である。
ホテルのレストランの従業員さんに顔を覚えていただいた。
そりゃ覚えるよ。他のお客さんは、たぶん1、2泊だもの。
5日間たつけれど、ホテルの部屋にカンヅメになって、出かける
ところは大浴場などだった。小さく生きているよ。
しかし今日は、部屋の掃除もしてもらわねばならないのと、水族館に
一人で行ってみたかったので行ってみた。すぐ近所だったのでびびった。
白イルカが大きな水槽の中で泳いでいて、目がすごく小さくてかわいい。
イルカはサービス精神でやっているのか、訓練されてるのか、ショーが
始まるまでぐるんぐるんと丸い水槽の中を反時計回りに泳いでいた。すごく
近くで目の表情まで分かる。やさしそうですごくかわいい。子犬とかもかわいいけれど、何か深い知恵のようなものを感じた。
白イルカのショーが水槽であって、その後屋外でも黒いイルカのショーがあったので見に行ってきた。シャチやアシカのショーもあっただろうけど、とりあえず帰り方が分からなくて困った。
年齢には逆らえない。足腰鍛えなければと思う。「出口はどこですか」と聞いてようやく出ることが出来た。
日曜だから家族連ればかり。子供に大人ばかり。妖怪とか、半魚人とか、幽霊は居なかった。
つづく
(この物語はフィクションです)