B@CK HΦME S3:13
Chapter:05
刹那、場に緊張感が走る。
「我が名は魚目燕石、蔦屋の犬どもめ! 背負った運命を後悔するんだな! 喰らえ! 偶像崇拝!」
追っ手が妖刀を振ると、追っ手の身代わりが土からたくさん生えてきた。
123456789……ダメだ……人数が多過ぎる。
「カカカカ、偶像崇拝の威力に全滅だな。高みの見物だ。できるものなら、全て破壊してみせよ!」
【陽炎】【陽炎】【陽炎】【陽炎】【陽炎】
「土は火に弱い。これで全滅だ!」
磐咏さんのルネッサンスが炎の塊を四方八方に飛散させる。あっという間に消え失せる、魚目の偶像崇拝。
「魚目のおっさん、そんなんじゃダメだよ。
俺の名前は石部金吉。妖刀、濁酒洪水の酒気に酩酊しな!」
二人目の追っ手の妖刀から怒涛の洪水が生み出される。信じられないが、
その全てがお酒の様だ。呑まれたら、悪酔いしそうだ……。
しかし、我らがスコティッシュフォールドさんが、
凄い勢いで二人目の追っ手に飛び掛かる!
隻眼肉球の炸裂! 両目を押さえる追っ手の周りから、
お酒の洪水が消えていく……。
屋根の上から石部金吉。
「蔦屋T三郎の精鋭だけはあって、赤子の手をひねる様にはいかないねえ。まあいいや、手の内は見えた。再戦は我々の勝利だ。
せいぜい命拾いなさい!」
魚目燕石と石部金吉が踵を返す。初戦は、圧勝で幕を閉じた。
コピーしたA4用紙を皆が読了したことを受け、北条時雨が語り出す。
時雨「鬼滅の刃を意識していないと言うと嘘になる。
後の呼吸法はそのまま踏襲だ」
桜時「それでも、瓜二つと呼べるような作風では無い気が……」
春馬「それは、いい意味でってことだよね? 桜時くん」
桜時「は、はい! オリジナリティのことを強調したかったんです」
晴子「鬼殺隊もさ、日輪刀だっけ? 色が変わる刀を持っているけど」
大和「時雨さんの妖刀の個性は独特の世界観がありますね」
時雨「七転抜刀は第5幕迄完成しているけど……」
桜時「そんなに書いて、貸金庫に保存ですか?」
春馬「ホグワーツのJ.K.ローリングさんじゃないんだから」
桜時「ハリーポッターみたく、全作売れたら億万長者ですね」
晴子「桜時くんは扶養の下でぬくぬくと小説が書きたいの?」
桜時「僕にもプライドがあります! 未だ売れるとも限らないし」
大和「そこは売れた体でいいんじゃない?」
時雨「そうだぞ桜時。
誰の貯金でNetflix観てると思っているんだ?」
春馬「へえ、北条家にはNetflixが視聴出来る環境が?」
時雨「ビジネスパートナーがね、観て欲しい映像があるからって」
桜時「でも、家族四人までなら一つの端子から拡散? みたく出来て……」
時雨「まあ、そう言うことで、Netflixは無料同然で観ているんだ」
春馬「一つの端子で四人なら僕と晴子も登録して下さいよ」
晴子「勿論、何らかのお礼はします」
時雨「ノープロブレム。問題無いよ。
やり方はビジネスパートナーに訊いておく」
この会話で明らかになったことは、
01:北条時雨にはビジネスパートナーがいること。
02:七転抜刀は第5幕迄完成原稿が存在すること。
03:北条家にはNetflixの環境があること。
北条桜時の実力も見たい所だが、彼には彼のペースがある。
いずれ必ず、桜時の原稿は読める!
春馬「時雨パパの剣客浪漫小説、震えますねー!」
晴子「吾峠呼世晴先生を鬼殺(きさつ)しにいく勢いだわ」
時雨「鬼滅の刃をね、桜時の部屋から拝借して、
無性に書きたくなったんだよ」
春馬「幕末っぽい設定に、
あえて宮沢賢治作品をちりばめるのとか、オシャレっすわー!」
晴子「カムパネルラは、
雷巣八朗を思い起させるサブ効果も働くかも?」
時雨「カムパネルラは、
伊語で『小さな鐘』という意味らしいね。一応、取材しました」
春馬「AFLCのメンバーは本当に意識が高いですねー!
自分たちも含めて」
晴子「ここから有名作家を輩出しても、何ら不自然じゃないよね」
時雨「息子の桜時も含め、筆力が高い書き手が、一堂に会しています」
春馬「噂のペアルックティーチャーも同時進行で進んでいるんでしょ?」
晴子「創作意欲が半端ないわあ! 多作、連作の境地って?」
時雨「いやあ、筆が浮気性なだけだよ。
でも、書けるときに残しておかなきゃ!」
春馬「僕たちも精進します! 又、サロンに集合しましょう!」
晴子「時雨パパ、お身体を大切に」
時雨「ありがとう。適度に休憩しながら書くよ。グッドバイ」
海堂「こんなにサロンが盛況になるとは、ね」
奈津「AFLCは、本当に有意義な空間だわ」
海堂「新生VitamineCstarZのデビューも、
ほぼ決まったし、大家業以外の収入も安定しそうだよ」
奈津「海堂くんが輝ける場所が生まれて、私も嬉しく思ってる」
海堂「サチエGMに、二人で手紙を書こうよ」
奈津「栄光苑にも、近々、顔を出さないとね」
海堂「僕たちには、帰るべき家がある」
奈津「ようこそ、AFLCへ」