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B@CK HΦME S5:03
COMMUNICATION FOR:YOMI
黄泉「BENIYA先生、僕の代筆原稿はいかがですか?」
紅弥「アタシは才能に満ち溢れていると感じてるけど?
ジャパニーズドリームを掴んだ北条父子が、
AFLCを退去してからしばらく経つわ。家賃は出世払いで構わないから、
アンタ、ここに越してきなさいよ。
一人の作家として、いい刺激になると思うけど?」
黄泉「素晴らしい提案です!
幽霊作家としての収入はきちんとありますから、
毎月入金は果たしますね」
紅弥「そういうプロ意識、素敵よん。アンタも底辺歩んできたなら、
日の光のありがたさを誰よりも理解してるはずよね?」
黄泉「周囲の才能開花に狂い死にそうな毎日でした。
努力は地面ばかり見詰めていた目線を高くしますね」
紅弥「あらあ、弁も立つぢゃない! 今後も、代筆原稿を宜しく哀愁」
COMMUNICATION FOR:KAIHATSU
紅弥「この身一つで東奔西走して、
SAO-NASHIネットワークを形成してきたわよ。
このプロジェクトに賭ける本気を感じ取って頂戴!」
開発「感謝以外の言葉が見つかりません。
最高の原案提供に留まらず、
製作に必要な素材を多数確保していただいたと
報告を受けております。
BENIYA先生、この辺で少し休暇を取られてはいかがですか?
ネオン街を撮影する専属カメラマンとグルメ旅行を楽しまれるとか」
紅弥「ふん、あのイケメン坊やは模擬新婚旅行を計画してるのよ?
ハネムーンにオネエのたんこぶってどうなのよ?
すべらない話にはおあつらえ向きだけどね」
開発「息を飲むほど弁が立ちますねえ。
製作秘話の雑誌取材にも、その弁舌をお貸しいただけたら……」
紅弥「プロジェクトの成功の為だったら、奥歯だって抜く覚悟よ?
オネエはね、信念に突き動かされる美しき女豹なの」
開発「比喩も群を抜いていらっしゃる。
この一連の記録は代筆者が存在すると伺っています。
先生が筆を握られても美文が生まれるのでは?」
紅弥「できなくは無いと思うわ。でも、チャンスって仕掛け人も必要なの。
代筆した作家が飛躍できたら、幸福は一つ昇華するのよ」
開発「気高き山脈の様な思想です。
首を上げて見上げるので精一杯だと……」
紅弥「しっくりこない表現だけどニュアンスは伝わったわ。
又、LINEしとく。今日は帰るわね」
開発「玄関までお見送りさせて下さい!
TAXIの手配はどうなさいますか?」
紅弥「ダメ、甘やかすのは毒にもなるのよ?
メトロに揺られて家路を目指すわ、ごきげんよう」
開発、一輝、海堂、由芽、時雨、紀行、黄泉、開発……
開発から始まる言葉と言葉のバトンを、再び、開発に返すまでの会話劇。
しゃべり疲れたウワバミは、大好きなアルコールを
「ストン!」と胃の腑に落としご満悦のご様子。