私の最期の先生 十話

十話 汚点
murder   side

◇ 俺は浮かれていた。神田栞に「殺してくれ。」と頼まれて、言われるがまま動いていた。その時間だけ、俺は必要とされていたんだ。神田栞にとって、俺が・・・・・・。 

◇ 「最初は殺したいと思ったから殺したんです。でもそれが段々と快楽に変わっていきました。もう一回、もう一回と、自分でも抑制できなくなっていって。それでこのような結果になりました。反省はしています。」
俺は目の前の刑事を見た。刑事は呆れたような、静かに怒っているような、晴れない表情で俺を見た。
「・・・・・・そうか。」
「まだ何か?」
「いや、もういい。どちらかといえば俺は渋谷日向殺人事件の話が聞きたい。・・・・・・頼む。話せないことは話さなくていい。教えてくれ。」
「・・・・・・何でだよ。」
「・・・・・・・・・ただの自己満だよ。」
「・・・・・・。分かったよ。」
俺は緊張している口を開き少しずつ、少しずつ話した。途中で喉に何かがつっかえて、机に水の玉が滴り落ちたのは気の所為だろう。・・・・・・・あれ?何で俺は被害者ヅラしているんだ?

◇ 事件のきっかけは、俺の姉ちゃんがバスの横転事故に巻き込まれて全治半年以上の大怪我を負ったことだ。入院費のために俺はバイトをすることになった。そこで俺は、俺に一生残る傷を造ったーーー渋谷日向に出会った。


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