③トライアル三次審査

前回のあらすじ
トライアル二次審査突破!
オラ、ワクワクすっぞ!

二次審査から数日経ち、周りの方々から「おめでとう!」「三次も頑張って!」と声を頂き、更にヤル気がみなぎっていました。
あの時のクズの自分が直視できないぐらい輝いていたと思います。それから練習を重ねて三次の本番が近づいてきたある日。
「台風が接近してる」
嫌な予感がしました。学校に通っていた頃や仕事では休みになるから待ち望んでいた台風が死神に見えた瞬間でした。
やめろ。これから面白くなる。もっと面白くするねん。観に来てもらう人に笑顔で帰ってもらうねん!


結果は審査前日に決まりました。
直撃での中止。安全性が確保できず、交通機関も麻痺する中での判断でした。
これからも続いていくトライアルで考えれば英断だったと思います。
こういう事は人生で考えれば沢山ある事の中の1つです。自分の力の及ばないどうしようもない現実。誰も怪我がしないよう安全第一の精神。
当たり前です。命あっての芝居です。
そう自分に言い聞かせていました。
審査当日の日。声を出して泣きました。
ただただ、悔しかったです。それは台風に向けて、皆に観てもらえなかった、舞台を楽しみにしていた、色々な感情が混ざり合っていました。
責めようの無い、誰も間違えていない、
行き場の無い感情が溢れ出していました。
落ちついてから、自分のカメラロールに保存されていた漫画「ハイキュー」のある言葉を思い出しました。


自分がこの言葉を実感したのが以前いた劇団での事です。周りの劇団が公演の告知をしている中、自分のいた劇団は動きませんでした。
台本を書き続け、公演しようと呼びかけましたが動く事は無かったです。
鉄棒に例えるなら「大会の為に鉄棒を練習する」のと「健康の為に鉄棒をする」の違いだと思います。どちらも意識の違いなだけで合う、合わないの差だけだと今では思っています。
そんな中この言葉に出会いました。
「この瞬間も演劇。目的を見失うな」
直ぐにTwitterで呟きました。同じ悔しさを抱えている人に届いて欲しいと思いました。

数日経ち、映像審査の形で審査される事になりました。妥当だったと思います。
それでも、「お客さんの前でもう一度やりたかったなぁ」という思いはどうしても消えてくれませんでした。それだけ熱中していたし、自分の中で大事な作品になったのだと思います。
②でも書いたのですが、自分の作品は簡単に言ってしまうと「生で観てくれる人ありき」を前提で作ってきたのでそれ以外だとどうしても弱くなるのは分かりきっていました。
映像審査当日。やれる事は出し切りました。
悔いが無いと言えば嘘になってしまいますが、今の自分の全力は出せました。
結果は惨敗。これも含めて自分の信じた物の結果です。


自分の今年のトライアルは終わってしまいましたが、確かな事が残りました。
「自分の弱点は武器になる」
「自分の作品が他の劇への入り口になれるかもしれない」
この2つと、
今回のトライアル、「ザッキー」では無く
「中崎康平」で出場を決めたのは、以前の劇団との本当の意味での決別をしたいと思っていたからです。
今は挑戦できた事への感謝しかありません。
来年もきっと自分は挑戦すると思います。
その時にはまた面白がってもらえるように、今は力を蓄えたいと思います。
改めて応援してくださった皆様、映像を観てくださった皆様。
本当にありがとうございました!


④リトワン舞台・前編に
続きます

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