宇宙旅行
これは宇宙旅行が当たり前になり、そう珍しいことではなくなった頃の話。
ある二人の男女が新婚旅行で宇宙旅行に行くことになった、男は二人乗り用ではあるがスペースシャトルを持っていたしAT限定ではあるが免許も持っていた。
何日分かの食料をスペースシャトルに積み込み星を出発した、目的地までの道のりは長かった星を出て2日ほど経った頃、猛烈な宇宙風により機体は大きく揺れ宙路から大きく外れ星の引力により機体が引き込まれある星に不時着した。
衝撃吸収装置が正常に作動したため二人の命に別状はなかったが落下の衝撃で無線は壊れてしまった、そのため近くを通りかかった宇宙船に信号を出して救助してもらうことはできそうになかった。
二人はまずこの星に観光にきているものがいないかを何日かかけ探したが一向に人の気配はなかった。そのかわり見たことのない魚や動物、真っ赤な果実などを見つけたがもといた星では見たことがないものだった為に食欲は起こらなかった、初めの何日かはスペースシャトルに積み込んでいた食料で飢えを凌いでいたがそれもやがてそこを尽きた。そこで恐る恐るではあるがそこにあった果実を食べることにした、他の動物が食べているのを見ていたのでおそらく毒は無いだろうと思われた。
「美味しいわ」女がそういうと男も黙ってそれを食べた、その星には知的生命体はいなかったが幸いにも食べられる物は豊富にあったので飢えに苦しむことはなかった。
しかし、この星は地図に載っていない星であったため観光客が現れる事はなかった。
「私たちこのまま死んでしまうのかしら」
「そうかもしれないね」
この二人授かり婚だったため女のお腹の中には子供がいた。
「せめてこの子が大人になって幸せに結婚できるまでは見届けたかったわ」
「そんな事を言ったって僕たちがこんな状況になってしまったんだからそれもどうか」
「それもそうね」
「そういえばこの星に不時着してから落ち着いて物を考える時間もなかったせいでその子の名前もまだ決めていなかった」
「それなら私はちゃんと考えていたわ」
「なんて言う名前だい?」
「カイン」
これは宇宙旅行が当たり前になり、そう珍しいことではなくなったむかしむかしあるところの話。
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