29歳、崖っぷち。
29歳の春。
私は焦っていた。
数ヶ月前に彼氏と別れたばかり。
周りは結婚していくし、数ヶ月後には30歳という大台に乗る。
今となっては、結婚は人生の選択肢の1つであり、
結婚してもしなくても、楽しく過ごしていくことが
できると容易にわかるが、
小さい頃からなんとなく、結婚して子供を産んで暮らしていくのが
一般的と思わされていたため、
「私は結婚できない女」なんだと毎日泣いていた。
当時の彼氏のことはちゃんと好きだった。
同僚だったため職場では顔を合わせ、寝る前にほぼ毎日
1〜2時間電話をし、週末には待ち合わせをしてお出かけしたり、
飲みに行ったり。
それが突然別れてしまったのだから、時間が空いてしまい、
「あ〜この時間は電話してたのに」と思い出しては泣くという生活で、
食事も喉を通らず、夜も眠れず、2週間で4キロほど痩せてしまった。
職場恋愛だったため、秘密にしていたが数人には
知らせており、別れた報告をするとご飯に誘ってもらった。
話を聞いてもらうが徐々に思い出してきて、そこでも泣いてしまうという有様だった。
ただ、人間とは不思議なもので、時間が経つと徐々に食欲も湧くし、
眠れるようにもなってきた。
しかも幸運なことに、別れた彼が部署異動のためフロアを離れることに
なり、別れてからも顔を合わせていた日々が終わり、少しづつ元気に
なっていった。
すると今度は何かをしようという意欲が出てきた。
・恋活アプリを始めて新彼を探す?
・料理やヨガなど習い事をする?
・仕事の知識を増やすため勉強する?
でも何か違う…
1人になって時間もお金も自由に使える。
明日死ぬかもしれないと考えた時、やっておかないと後悔すること…
nekoを飼うー!!!
そうだ!猫を飼おう!
それからは行動が早かった。
まずは不動産会社へいき、猫を飼っていい賃貸物件へ引っ越しをし、
ネットで猫を飼う方法を調べた。
今まで生きてきて動物と暮らしたことがほぼなく、
(昔、半同棲をしていた恋人が猫を飼っていて一緒に暮らしたくらい。)
不安はあった。
だが数年前から、友人たちには
「いつか猫飼う〜」「いつか猫と暮らすんだ」といつかいつかと
連発しており、飼うならこの機会しかないと意気込んだ。
しかし実家の父がお金で生き物を買うことに反対で、
猫を6匹飼っている先輩も保護猫をおすすめしてたので
保護猫を探したが中々決まらない。
女1人暮らし、日中は家にいない、ろくに猫を飼ったことがないとなると
条件的に厳しかった。
もっと探せばあったかもしれないが、検索に疲れてしまい、
ちょっと本物の猫みたいな〜と軽い気持ちでペットショップにいくと
はるにとってどうかはわからないが、私にとって運命的な出会いがあった。