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私の読書遍歴(小説)
私は、物心ついたときから本を読んでいた。6歳まで九州・福岡の炭坑町田川に住んでいたが、その時の愛読書は、汽車の「時刻表」だった。暇なときは一日中でも読んでいた。
大阪に移り住み、小学校から高校までを過ごした。小学校4年の時から漫画を読み出し中学校の卒業まで漫画が主な私の読書の対象だった。小学校5年から友人同志で、漫画同好会を作り、中学校3年まで同人誌を発行した。
その間も、小学校の時は、「原爆体験記」、中学校の時は、ドストエフスキーの「罪と罰」やパールバックの「大地」等は読んでいた。
私が本格的に小説を読み出したのは、高校生の時だった。高校のとき、今は亡き友人とどちらが多く本を読めるか? を競って毎日を過ごしていた。読書ノートも作ったが今はもうない。毎年100冊の本を読んだ。もちろん、文庫本が中心だが、単行本もあった。
高校時代は、古典と呼ばれる本をよく読んだ。
夏目漱石や武者小路実篤、有島武郎、太宰治、島崎藤村等。特に白樺派の本が読みやすく好きだった。当時流行っていた高橋和巳や開高健、大江健三郎、埴谷豊の本もよく読んだ。今は、島根から帰って来る時に、全て後輩にあげてきた。
大学は、松江にある島根大学。7年いたが、蔵書は1,000冊を超えた。小説では、村上龍、村上春樹、五木寛之、高橋たか子、安部公房、中上賢次、三田誠広、小田実等数えきれない。しかし、やはり私は開高健派だった。これらの本も松江を去る時に後輩にあげて来た。
大阪に帰って来て、豊中市に移った。毎年ではないが、芥川賞や直木賞受賞作品を通じて小説をまた読み始めた。2,000年前後だった。
綿谷りさの「インストール」が始まりだった。
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当時、20代の新人女性作品が光っていた。綿谷りさの「蹴りたい背中」。「ファーストラブ」「大地のゲーム」
また、島本理生の「リトル・バイ・リトル」や「ナラタージュ」。
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金原ひとみの「蛇にピアス」や川上未映子の「乳と卵」等。綿谷りさの本は全て読んだ。2,000代の若者の発想を知りたくて、かなりの頻度で読んだ。このように読書を進めている内に、原田マハに辿り着いた。
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原田マハの本は、「暗幕のゲルニカ」から始まり、本棚に約40冊の文庫本が並ぶほどだ。
前向きで美的センスがあり文章も綺麗で、読みやすい。今でも新しい文庫本が出ると買って読んでいる。
特に近頃驚いたのは、村田沙耶香の「コンビニ人間」だ。まるで宇宙人だった。
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その後も、「地球星人」「タダイマトビラ」「ギンイロノウタ」などを読み進めると、村田沙耶香の異常な発想が面白い。この発想に着いて行こうと昭和の人間が足掻いている。実に今ドキだ。
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そして、今、これからも新しく読もうとしている本がある。
まだまだ、本の旅は道半ばだ。齢70を超えてもまだ、旅の途中であることは確かだ、と実感している自分がいる。