あるボランティアオンライン日本語教師の歩み
私は主に海外在住の学習者さん達にオンラインで日本語レッスンをしているボランティア日本語教師です、いや、日本語支援者だと自認している者です。
420時間の日本語教師養成講座時代から現在に至る歩みを振り返ることで私がこれまでに感じて来たこと、また、これから大切にしていきたいことを書き留めておこうと思います。
私は日本語教師の教師の王道を歩む者ではありませんが、日本語教師としての今後について迷いなどをお持ちの方にこんな歩みをしている者がいることを知って頂くのもありかなと思っています。何のお役にも立てないのではと思いますが。
🔔 日本語教師養成講座の時代からコロナ禍前まで 🔔
私が日本語教師養成講座で420時間の学びを終えた頃に思い描いていた私のやりたかったレッスンのやり方のイメージと今のやり方を比較するとその違いに自分自身、大きな違いに驚かざるを得ません。
私は養成講座に通うかたわら日本語学校で来日して日の浅い学生さんに会話ボランティアをしたり、地域の日本語教室でボランティアとして主に定住外国人の方に日本語を教えたりしていましたが全てがマンツーマンでした。
420時間の講座が終盤に差し掛かった頃に3回行われた模擬授業の実習の時、講師の先生のチェックを受けた教案に沿ってモデルスチューデントの皆さんを相手に授業に臨んだのですが、講師の先生から度重なるダメ出しを受け完全にグループレッスンに対して苦手意識が植え付けられ、このままでは日本語学校に日本語教師として採用されるのは無理だろうと思うようになってしまいました。
その結果、せっかく日本に住んでいるのだから日本人と交流したい、そのことを通じて日本語のみならず日本文化を深く知りたいと願う大学院生などの留学生さんや定住外国人さんに対する日本語レッスンをするようになっていました。
🔔 コロナ禍によるレッスンの変化 🔔
・対面からオンラインへ
他の多くの皆さんと同様にコロナ禍前までの私のレッスンは対面でのマンツーマンが私にとっての標準でした。
みんなの日本語やGENKIそれに某NPO法人の皆さんが制作されたナラティブの教科書などを使ったものでした。
ボランティアであることで私に多くの裁量が委ねられていたことは私には躊躇なく様々なチャレンジが出来てラッキーでした。
そんなことを続けながらSNSで知り合った海外在住の学習者さんから送られて来た文法等の質問のメッセージに回答したりもするようになりました。
国内の学習者さんのほとんどは初級レベル、海外の学習者さんは中上級レベルでした。
・ある日、突然届いた海外からのオンラインレッスン依頼のメッセージ
日本在住の学習者さんから海外の学習者さんへ
そんな日々が続いていたある日突然、海外在住の学習者さん(国ではN3を教える先生)の生徒さん数人から日本語会話の特訓をしてくれませんかとメールを受け取ったのでした。
その先生が家庭の事情等によりオンラインレッスンをすることが出来なくなったのが理由でした。
・マンツーマンレッスンからグループレッスンへ
こうして海外在住の学習者さんとのオンラインレッスンが始めることになったのですが、その初回レッスンは私を慌てさせるには十分なものとなりました。
それはスクリーンの向こうにいた学習者さんが7人だったからです。
数人の新たな学習者さんとのマンツーマンレッスンが別のスケジュールで始まると思っていたので突然、グループレッスンを始めなければならなくなるとは思っていなかったからです。
初回はお互いの自己紹介や学力の確認に終始して終わったのですが、グループレッスンがトラウマになっていた私は急遽、日本語教師仲間の方々にお声がけして、ボランティアでも良いからと言って頂けた先生達3人の共にレッスンをスタートさせたのでした。
あれほどグループレッスンに対して恐れを抱いていた私がこのスタイルで始めたレッスンを通してご協力頂けた先生方のティーチィングスタイルと学習者さん達の反応などを目にすることで多くのことを学ばせて頂きました。
🔔 レッスンから開始から39ヶ月を経て 🔔
今ではグループレッスンこそ最高❤️と思えるほどに変えられたんですから私自身がいちばん驚いています。
当初、お声がけしてご協力して下さった先生方はご自身のスケジュールなどの関係もあり現在でもご協力頂けているのは不定期で参加して下さっているおひとりの先生のみになりましたが、自分自身が楽しいと思いながら海外在住の学習者さんの夢の実現に関わっていられることを喜んでいます。
🔔 苦労や大変なことがあるからこそ感じる喜び 🔔
彼らの国の政治経済状況は私達日本人には想像できないほど悪いのは事実です。しかし、そんな中だからでしょうか皆が肩を寄せ合い夢の実現に向けて頑張る彼らが人生を切り開こうと姿に触れることは私にとって大切な時間となっています。
停電の頻発、専攻分野の勉強の深化のためのオンラインレッスン参加等もあり、毎週ある程度の固定の学習者さんの参加は見込めますが、当日になってみないとレッスン参加者が分からないのが現実です。
熱心で向学心の高い彼らの夢の実現のために柔軟で幅広く対応していくためにも相互の異文化理解、ファシリテーションスキルのアップ、学習者の様子に気を配る事の大切さ、また、表情豊かな表現力などが日本語の知識と同等かそれ以上に必要である事に気づかせてもらえていることに深く感謝しています。
私は日本語ネィティブですから日本語の知識等の面で学習者さんより圧倒的なアドバンテージを持っているのは当然なのですが、だからと言って知識の注入だけにならないように気をつけなければと一方通行にならないようにと気づけことにも感謝しています。
ただ、収入面でいえばボランティアなのですから全く金銭的な対価は現在ありません。
しかし、将来に向けての種蒔きをしているのだと割り切っています。
幸いにもアッパーミドルに属し、JLPTの合否にこだわるのではなく総合的に勉強した結果として合格出来たらそれで良しと言える学習者さん達と出会えたことを喜んでいます。
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