年始にサイレントヒル2
今年の年末年始のお供に買ったゲームはサイレントヒル2リメイクだった。
年末はともかく、年始にやるゲームか?
やらずに詰んでたホグワーツレガシーの方が良かったのではないかと今でも思ってはいる。
ともあれBlooberteamはすごい
ビジュアル・操作性・演出、Blooberteamは本当に見事にやり遂げたと思う。
このゲームの構成をよくぞここまで効果的に現代化し、遊べるつくりにしたものだ。
ただやっぱり全体通してのテンションの変化のなさは無視できない。
これはリメイクの問題ではなくて原作の問題なのだがとにかくずっとずうっと陰鬱だ。
私の最も好きなサバイバルホラーであるラストオブアスシリーズなどに比べるとムードがずっと一緒で、比較してマニア向けなのは問違いない。
ラストオブアスの化け物ステージだけが延々続いているような構成で、つまらなくはないがとにかくずっと苦しく気が晴れない。
金を払ってこんな体験をして一体何がしたいんだと、ホラー嫌いの友人には人生通してよくいわれて来たが今回は本当にその通りだな・・・と思いながらやっていた。
だが、へとへとになって電源を切った後、しばらくするとまた進めたくなっている不思議な力がある。それはやっぱり苦しいだけではなく、ステージクリアごとに新しい価値を提供されてきたという事なんだろうとは思う。いくつか思い当たる。
スクショ必至のビジュアル。
サイレントヒルの醍醐味、裏世界。おどろおどろしさの中に美しさも感じるビジュアル表現は今作でも至高のものだ。そこかしこでポスターが撮影できそうな瞬間が用意されている。blooberの名作レイヤーズオブフィアーでもこういった魅力は存分に発揮されていたので相性は間違いなく抜群だった。
安っぽいジャンプスケアがない。
ホラー演出にはほとんど必然性があり、無意味なジャンプスケアが非常に少ないのでヘイトが開発者までいきにくいなと感じた。苛立ちや不快感がちゃんと世界の中で完結する。きっとそれが没入感を生んでいて早く脱出したい、どうなるのか見たい、と画面の前に俺を戻させるのではないか。
全編通してつまらない事はしてこない、というある意味では信頼感を持っていた。
絶妙な親切さ
雰囲気や没入感を重視してかミニマップがない代わりに、地図が非常に優秀で主人公があらゆる要素や情報を地図に書き込んでいくので詰みにくい。ちゃんと探索してさえいれば次に行くべきところや怪しいところが一目瞭然になっている。不快で不便な世界観の中でこの要素が強力な支えとなってプレイヤーをどうにか前へ進ませてくれる。
結局、ホラーゲームとして怖かったのか
海外では、最も怖いホラーゲームだと言われ続けているというオリジナルの評判を知っていたので前半は割と拍子抜けだった。逃げるしかないタイプのゲームとは違い、敵を倒す力があるもんな、などと思っていたが、ブルックリン病院脱出あたりから話が変わってくる。脱出後から時間は夜になり、歪んで現実味のない景色ばかりの中で畳みかけるように出現する敵との死闘の繰り返し。プレイしていてどんどん疲弊させられる。越して久々に霧たちこめる昼の街に戻った時には、不気味だったはずのその光景に実家のような安心感を覚えたほどだ。
しかし本当にキツかった。
リメイクも評判は上々だというのは知っていたが、これが好評多数??すごいなみんな・・・と客層の練度に感心してしまった。トルーカ刑務所がほんとにキツかった。
このゲームの怖さは特殊だ。カオスな世界観ながらホラー演出には秩序があって、やみくもに怖いというよりはひたすらに不安だ。
敵が出てくる前にラジオが鳴るというシステムがこのバランスを成し遂げているように思う。
正直人には薦めない。やるなら覚悟してやれと言いたい。クリアしてもスカッとするほどのカタルシスもない。ただ確実に心には残るし、丁寧につくられたゲームだという事は保証できる。
でもまあ、やめときなさい。