花を咲かそう。【豆島圭氏cover小説】
服の下は痣だらけ。
僕の身体に痛みがない日は無かった。
よくわからないが、顔に痣を作られた日は学校に行かせなかったな。
お腹も毎日空いていた。
夜に食べれるパンひとつがご馳走で。
クリームパンが好きだった。
お母さんは毎日車で出掛ける。
帰りには大量の買い物をする時と、何も持たないで帰ってくる日があって、
何も持たないで帰る日が多かった。
その日は僕に良く痣を与えた。
夜のパンが血の味がして、あんまり美味しくないんだ。
『あんたのせいで負けたんだ』
何に負けたのかわからないけど、僕のせいで負けたらしい。
今日もまた、お母さんは車に乗って何処かへ行った。
今日もきっと何も持たないで帰ってくるのだろう。
また痣が増えるのかな。
痛いな。
でも僕のせいなんだ。きっと。
わからないけど。
帰ってきたお母さんは、すごく怒ってて、僕を怒鳴って顔に痣をつける。
これで、明日は学校に行けないな。
口の中は血の味しかしない。
痛くてパンも食べれないよ。
あの車があるからお母さんは出掛ける。
出掛けたらお母さんは怒る。
それは僕のせい。
僕は。
花を咲かそうと思う。
ーーAim for that spot。
花を。
ーーI’m going to take a leap of faith。
綺麗な花を。
ーーGo to the other side。
あの場所へ。
ーーI can barely hear anything as a gale blows past my ears。
もうすぐ、咲くよ。お母さん……。
ーー衝撃音。
The sea of red petals filled the ground。
豆粒ほどの親の車目掛けて、屋上から彼は飛んだ。
車の屋根を押し潰し、血が飛び散って紅い花が咲いたように見えた。
[完]
こちらの企画に参加させて頂いてます。
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