もう一度。【スズムラ氏cover小説】
『ごめんね、こんな私で』
またーー上手く出来なかった。
こんな事も上手に出来ない。
どれ程『ごめんね』と言ってきたのだろう。1万回は確実に超えているだろう。『すいません』や『申し訳ない』を含めたらもっと多いのかな。
それ程までに私は謝らなきゃいけないほどダメな人間なのだろう。
そんな自分に嫌気が差して、『死にたい』と漏らしてしまう。
「その時は付き合うよ。そんな人が居てもいいよね」
彼は微笑んでそう言った。
「あなたはダメよ」
「なんで?」
「なんでって……」
「自分は良くて俺はだめ?ジャイアンかよ(笑)」
ちょっと笑えた。
「あのさ、きっと上がったり下がったりすると思うんだけどさ。それって誰でもあるしさ。振り幅大きくなることもきっと普通……んー普通って言葉もあんまり良くないけど、あってもおかしい事じゃないからさ。そういう時には寄りかかってよ」
不器用な人。上手に言えないあなた。
「何言ってるかわかんないって顔してんな!?」
「ん、わかんない(笑)」
「そこに居てよ、そしたら俺も嬉しい、きっとみんな嬉しい。これならどうだぁ!」
「ん、わかった(笑)」
あなたが言ってくれるから。
わかる気がする。
だから……
もう一度言わせて。
『ごめんね、ありがとう』
[完]
こちらの企画に参加させていただいています。
わたしに出来ることはこれくらいしかないから。
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小躍り𝑫𝒂𝒏𝒄𝒊𝒏𝒈です。