胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ♯22
Bonus track: 𝐁𝐋𝐔𝐄 HEAVEN
【My first friend remix】
ーーこの愛なき場所は𝐁𝐋𝐔𝐄 HEAVEN。
ナイフを持ち、伊集院のところへ行こうとするルナ。
「やめてください!!」
スズカの大声を聴いたのはこれが初めてだった。
「旦那様はわたしを助けてくださったお方なんです。わたしの全てです」
「でも、スズカ。嫌なんでしょ?身体を奪われるの」
「ーーー!!」
「恩に着せて、スズカの身体を自由にしてんだろ?あのおっさん」
「やめて!!」
客間の鍵がかかっているクローゼットより刀を取り出すスズカ。
その表情は決意に満ちている。
「スズカ、自分に嘘をつくのはもうやめなよ」
スズカの表情が曇る。
「うるさいっ!!」
刀を振るうスズカ。
ーー速い。
後方へと飛び退いて刀を躱すルナ。
ルナの前髪が少し切れて、落ちた。
「旦那様はわたしが守ります」
「スズカ……」
両者動かず。隙を伺っている。
「スズカぁ……どうしたんだ?」
唐突に開かれる客間の扉。
伊集院だ。
「来ては行けません!旦那様!」
ーー隙あり!
入口に一瞬目を向けたスズカの視界からルナは消えた……ように見えた。
伊集院へと走るルナ。
それに割って入ろうとするスズカ。
ーーなら、これならどうする!?
ナイフで切りかかるのを諦め、伊集院へ向かってのナイフ投げ!
投げた勢いを殺さず、更に伊集院へ向かって突進するルナ。
ーーさせない!
刀を投げつけ、伊集院へ向かって飛ぶナイフを迎撃して落とす!
長い刀を投げなくてはいけなくなったスズカは、体勢を崩して伊集院へ向かうのが少し遅れる。
ーーナイフは1本じゃないよ?スズカ。
さらに懐より取り出されるナイフを見て戦慄するスズカ。
ーー間に合って!!
伊集院に向けてナイフを突き立てようとするルナ!
そこに割って入るスズカ!
「スズカ!」
ーーヤバい……もう止められない……
「ひぃぃぃ!!」
伊集院の悲鳴と鮮血。
スズカの腹に刺さるナイフ。
伊集院の盾になったスズカは力無く笑う。
「スズカ、なんで……??」
「旦那様……お怪我はありませんか……」
血にまみれたスズカは伊集院へ歩み寄る。
「は……ははは!!」
「旦那様……??」
腹にナイフが刺さったままのスズカ。
そこに伊集院は蹴りを入れた!
ナイフがさらに奥へめり込む。
立てずに崩れ落ちるスズカ。
「うっ……うう」
「死ぬならお前はもう要らんよ!また別の女を拾って教育してやるからなぁ!!丁度いい、そろそろ違った女を手に入れたかったからなぁ!」
「う……うぅ……」
立ち上がろうとするスズカ。
「スズカ……」
ルナはスズカに歩み寄る。
近くに転がっている刀を手に。
その刀をスズカに手渡すルナ。
スズカが考えていることが不思議とわかった。
「あ……ありがとう……ルナ……」
「ん。やっとタメ語にしてくれたね」
スズカは刀を構える。
「旦那様……あんたのつまらない……欲望に……付き合うのは……」
「まて!まて!スズカ!わたしはーー!!」
「うんざりなのよっ!!!」
袈裟斬り一閃。
飛び散る鮮血は妙に赤黒く見えた。
膝を折るスズカ。
抱き留めるルナ。
「スズカ、病院いこ。ちょっとイカレてるけどいい医者、居るんだよ。これくらいの傷、すぐ治してくれっから」
「ルナ……あり……がと。でも……わたしは、もう……」
「大丈夫だって、大丈夫だよっ!スズカ!」
「嗚呼……かみさまは……最期に……わたしに……友達を……くれた」
スズカから零れる涙。
「最期じゃねぇから、あたしとの決着だってあんなんじゃ認めねぇよ?スズカ!」
「はは……ルナは……ほん……と……おもしろ……いね……」
スズカから力が抜けたーー。
ルナから溢れ出たそれは、スズカへと落ちる。
「だから弱いやつは嫌いなんだよっっ!!!クソッ!!!」
スズカは微笑んだまま静かに眠った。
続
思い浮かんで描きたくなったストーリーでした。
┏○ペコッ
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