夜の船で帰ります。【春弦サビ小説】
この島から出て遊びに行くのを許してくれた旦那。
犬みたいな優しい旦那。
だけど……なんだかそれだけで。
あたしは外の世界に触れたかった。
ネット、SNS、etc……。
それだけでは満足いかなくて。
あたしを……好きだと言ってくれる人が居たりして。
会いたくて飛び出してみた。
旦那は呑気に『たまにはいいじゃない』と笑顔で送ってくれた。
優しい。でもそれだけ。
それだけなの。
船に揺られて本土へ。
あたしを待つ刺激は……。
港へ来ているワゴン車。
あの人のナンバープレート。
あたしを違う世界に連れていってくれるあの人。
「やあ……!待ってたよ!」
ーーあれ?
「さぁ、乗って!行こう。僕たちの愛の巣へ♥️」
ーーなんか……。
ワゴン車の中は……何だか臭う。
そっと窓を開けた。
ブレーキ荒い。
身体ガクガクする。酔いそう。
「たくさん愛し合おうねぇぇ」
ーーキモい。なんだこれ?
急に切られるハンドル。
気付けばラブホテルの駐車場。
「さぁいこういこう💓」
ーーあ~無理だわ。
『ごめん、帰るわ』
「何言ってんだよ!?ここまで来て!」
『あたしが馬鹿だったわ、反省』
「このまま帰すわけ……」
力付くでホテルへ連れ込もうとするキモい男の股間めがけて蹴りを入れてやった。
声にならない声を出すキモい男。
『ごめん、帰るね、さよなら』
よく分からない所まで連れてこられたから港に帰るまで時間がかかってしまった。
『ごめんねぇ、最終の船に乗るからぁ!』
旦那に電話を入れた。
最終の船に乗って島を目指す。
ーーごめんね、旦那ちゃん。
お土産に旦那の好きな『ビーフジャーキー』
着いた港には旦那の軽自動車。
それが何だか愛おしい。
「おかえりー!!」
『ただいまー!遅くなって……ごめんね』
「楽しかった!?」
何も疑っていない旦那。
ーーほんと、ごめん。
笑顔で聞いてくる旦那に。
『やっぱりあたしは、あんたと居る時がいちばんみたい』
「おっ!?ほんとにぃ?」
嬉しそうな旦那がかわいい。
『はいっ!お土産!』
差し出したビーフジャーキーに
少しヨダレが出てる旦那を……。
愛してる事にやっと気付いた。
Lyrics: chai-lotta
Composition: ques
Vocals: Mimosa
Chorus: ques