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さくらもちの塩味は。【春弦サビ小説】



「桜の樹の下でさ、さくらもち食べるのって何か粋だよね?」

貴方が笑ってそう聞くから、あたしは笑って答えるのよ。

『そうね、毎年食べれたらいいね』

さくらもち頬張る貴方は、上空から差し込む陽射しにキラキラと。

「毎年、違うところで買って、色んなさくらもち食べよ」

まだ見ぬさくらもちにワクワクしている貴方はキラキラと。

また来る春の前に。
貴方はーー。

「ちょっと旅してくる」

そう言って、ひと月かけて日本を見て来るって。バイクで行っちゃった。

春が来るのに、さくらもちの約束は?
もう忘れちゃったの?


さくらもちの日。
5月10日だよ。
ふたりの記念日。


あたしはあの桜の樹の下。
貴方は居なくて。



知ってる。

もう……此処には来てくれないことくらい。


わかってる。

貴方、驚かすの好きだから。
美味しいさくらもち探しに行ったんでしょう?


貴方はお空に昇って行ってしまって
あたしは桜の樹の下。


桜の花びらはあたしの髪に舞い降りてくる。

やたらとあたしだけにくっつく花びら見て、笑ってた貴方。


上から見てる?
また花びらくっついてしまったよ。


笑ってる?

ねぇ、もう一度。

笑ってよ。




Inspired by pedestrian-b lyric.
Composed by Rio
Song by mimosa






#春弦サビ小説

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暁月夜 まくら
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