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厳寒の富良野で知った冬の静けさ

先日、富良野を訪れました。

富良野は北海道の真ん中にあたりに位置する盆地で、倉本聰さん脚本のドラマ「北の国から」の舞台としても有名です。
12月の日中平均気温は-5度!!

夏にはラベンダー畑なども有名です。

そんな雪深い富良野に、ろくにウィンタースポーツをするわけでもないのに赴いたのはほかでもなく、30年近く推し続けているアーティストが、毎年この時期に新富良野プリンスホテルで開催しているディナーイベントに参加するためでした。

今回はそんな富良野の滞在記を綴ろうと思います。

推しのステージもとっても最高でしたよ♡

しもやけに泣く!!

新千歳空港に到着後、バスで富良野に向かうツアーでしたが、寒波の影響で高速は通行止めも出ており、下道でじっくりと向かうことに。

途中、占冠(しむかっぷ)の道の駅でトイレ休憩がありました。

しむかっぷの道の駅
膝近くまで降り積もるパウダースノー
バスからの風景

バスを下車して長蛇の列に並んでいたのですが……

次第に足がちくちくしはじめてきた。
乾燥かな??と思っていたけど、手指や足(つま先からふとももまで全部!!)、耳が痛痒くてたまらない。

その後バスに戻るとひと段落するものの、ホテルに着いて周辺を散策したりし始めるとまたちくちく。

自分史上最大級の武装だったのになぁ


入浴時に肌を見ると全身まっかになってぼっっこぼこになっている。
調べてみたところ、これは凍瘡(いわゆるしもやけ)だということが分かりました。

以前3月に北海道に行ったこともあるけど、こんな風になったのは人生で初めて!!
しかもこの凍瘡、本州に帰還して1週間経つ今も平癒せず、少し水仕事をしたり、裸足で床を歩いたり、寒気にふれるだけでちっくちくで今も辛くてたまりません。

厳寒の北海道の洗礼を受けたのでした。


ゆっくり時を、刻む

森の時計

滞在した新富良野プリンスホテルの敷地内にあるカフェ、森の時計。
2005年に放映されたドラマ『優しい時間』で寺尾聰さん演じる主人公が開いた喫茶店です。

※本画像は公式HPより引用

カウンター席ではコーヒーミルを挽く体験もできます。
開店は12時でしたが、なにしろこのカフェは推しのアーティストも大好きだということもあり、ファンたちが大挙として押し寄せるため、カウンター席狙いの私たちも朝の9時から並びました。

森の時計の入り口

その甲斐あって無事カウンター席に。

可愛いカップやコーヒーの器具がいっぱい。
窓越しに広がる雪景色も圧巻
雪のシチュー(きのこのシチューとバターライス)
カウンターではミルが挽けます
ケーキセット
『雪解け』(チョコレートガナッシュのスポンジケーキ)
倉本聰さんの言葉。
「森の時計は ゆっくり 時を刻む」

人生で初めてミルを挽く経験をしました。
ごりごりとレバーを回していくと、豆たちが粉になって、アリ地獄のように受け皿に吸い込まれていきます。
それとともに香りが楽しめるのですが、この日私は鼻かぜをひいてしまっていて、あまりにおいを感じられなかったのが残念。

書道の前に硯で炭を擦って心を落ち着けるような感じで、コーヒー豆を挽くのも、ゆったりした時の中で心を鎮める効果があるように感じました。

その後店員さんが挽いた粉を丁寧に蒸らし、カップに注いで提供してくださいますが、見ていて飽きないし、こんなに大事に心を配りながら淹れてくださってるんだということが伝わってきて、たった一杯のコーヒーなのに、愛おしさや人のやさしさが感じられるのです。

もともとコーヒーは、甘くしないと飲めない人なのですが、ここのコーヒーはブラックで飲めたことにも驚き!!

真っ白な雪は眺めていてただただ心が洗われるし、倉本聰さんの言葉、「ゆっくり時を刻む」を実感できる、素敵なカフェでした。

今回はたくさんお客さんが並んでいたので、食事が終わったらすぐ退席したのですが、何でもないときにただただゆっくり時を感じていたいと思いました。


Soh’s BAR

同じく新富良野プリンスホテルの敷地内にあるバー、Soh's BAR。
こちらも「大人の隠れ家」をコンセプトに倉本聰さんがプロデュースしたバーです。

ディナーイベント終了後の夜遅くにお邪魔しました。

ふっかふかの雪の坂道を降りていくと
お店が点在しています
暗闇と間接照明が大人の隠れ家感
店内の雰囲気
(自分で撮った画像はお客さんが映っていたので
公式HPから拝借)
手前はオリジナルカクテル『北の国から』
ミントっぽい清涼感のある味でした
チーズフォンデュ
窓から見える雪が深くて
店内照明とあいまってさらに幻想的

こちらも閉店まで1時間くらいしかなかったのでゆっくりできなかったのですが、お酒飲みながら雪を見てるだけで満足できる空間です。

夜は気温も下がるせいか、よりしんしんと雪が降り積もっている様子が見てとれます。

私が愛してやまない人生のバイブル的漫画、『るろうに剣心』の中で、主人公剣心の師匠、比古清十郎も言っていました。

春は夜桜 夏には星 
秋に満月 冬には雪 
それで十分酒は美味い

それでも不味いんなら それは自分自身の何かが病んでいる証だ

るろうに剣心第167幕 
『追憶ノ参~血の雨の男と女~』より

雪だけで十分お酒がおいしい!!
比古清十郎の言ってたとおりだ!!
そのことを初めて実感した富良野の夜でした。


大地本来の静けさを感じる

富良野滞在中に最も強く感じたこと。
それは、「地球ってこんなに静かだったのか!」ということでした。

しんと静かで動物さえ見かけない。
ただただ雪だけが降り積もっている。


もみの木みたいな木が雪を身に着けていると可愛い
枝につもった雪が本当に花のよう
日を経るごとに実っていく白いぼんぼりも
可愛い
ニングルテラスのあたり
クラフトショップがいっぱい
一面の雪景色

今までも、たくさんの雪国に行ってきましたが、こんなにあたり一面、一切地面も見えない、ただただ360度雪の景色って初めてで。

大体街中は車道や歩道は除雪されているし、ゲレンデであっても、道中は雪のない道を歩く。
富良野のこの森は、完全に雪に覆われているのです!!
これって本州ではなかなか見られないし、札幌ですら見られない光景だと感じます。

市街地や観光地は、厳しい冬であっても人々が暮らせるよう、除雪したり便利な工夫がなされながら暮らしを営んでいると思いますが、この富良野は、自然の中に人間がお邪魔しているような感覚に見舞われれます。

まだ人類なんて存在しなかったり、文明を築く前って、本当にこんな大地が広がっていて、物音ひとつなくて、ただただ静寂の中を雪だけが降り積もっていたんじゃないかと。

日頃の暮らしは音や刺激にあふれているけど、ここにくれば静けさの中で、ゆったり刻む時を感じながら、ゼロに回帰しリセットできる感覚があると感じました。

なかなか厳寒の富良野に来る機会は少ないかも知れませんが、いつかまた来たいと思いえる大自然の体験でした。



そんな富良野の静けさを感じられる、今回滞在したホテルはこちらです。

新富良野プリンスホテル


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