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みこ巫女パンチ #毎週ショートショートnote #もじもじ社


 もじもじしゃの巫女バイトに応募したら、もじもじ社の神主から「なぜもじもじ大社でなくもじもじ社に応募したのか」と折り返しの電話があった。

 わたしは申し訳ない気持ちで「あ…巫女服がほしい…からです」と答えると、「なかなかのもじもじものです」と顔も見ずに採用されてしまった。これは異例らしい。

 ところでもじもじ社の向かいにはどうどう大社があって本願寺でいうところの西と東みたいな関係なのだが、今年に入って「紅白に演歌が少なかった」ことを理由にどうどう大社はNHKもろとも日本を沈める宣言をした。わたしがバイトに入ったその日にだ。

 迎え撃つもじもじ戦隊に抜擢されたわたしが先ず取り組んだのは内通者探しだった。どうどうものは巧みにおしっこを我慢することによりもじもじを演じていたのだ。わたしは賭けに出た。一人ずつ腹パン魔女裁判カーニバルだ。

 腹パン強制放尿が功を奏してもじもじ社は勝利した。以来、日本はもじもじを美徳とする謙虚な国となった。ちなみにわたしが断行した腹パン放尿は後にもじもじ社の神事となった。

 大晦日。雪がコンコン舞い落ちる空に響き渡るのは除夜の鐘だけではない。巫女バイトが奏でる音。御神樹ごしんじゅに縛り付けた人形ヒトガタの腹に拳を打ち込む[みこ巫女パンチmico-micoパンチ]の音こそが、去る年を労い、より良き来る年をお迎えするのだ。

 という初夢をみました。



[おわり]
#毎週ショートショートnote
#もじもじ社

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