母のそばで♡夏の恐怖篇
母は私のそばで安心して暮らしている。
理由はわからないが、呼吸の苦しさを訴えることもほぼなくなった。
肺ガンの末期だなんて、ホントかな?
疑ってしまうほど普通に暮らせている。
タカをくくっていたつもりはないけど
「普通の暮らし」はたやすく壊れることを思い知る事が起こった。
いきなり停電
ある朝のこと。
目が覚めると、全ての電気が消えている。
朝だから電気がなくても見えるけど、その日は暗いほどの曇りだった。
寝ぼけた頭で事態を理解できずにいると、夫が起きてきた。
彼は周りの家や街灯をチェックしている。
「停電だ」。
雨も降っていない、風も吹いていない、雷も鳴っていないのに?
「ごはんはどうなってるかな?」
炊飯器を確認すると、ご飯が炊けた後に停電したらしい。
よかった!ご飯は食べられる。
母の命の綱である酸素濃縮器がメッセージを伝えている。
「停電の際は酸素ボンベに切り替えてください!」
そうだ!酸素ボンベに替えなくては!
酸素ボンベに切り替えるのは簡単だけど…。
以前は「1.0リットル」だったのが今は「2.0リットル」にしている。
つまり、早く酸素が無くなる。
3本まで確保できるのだが、1本は使い切っている。
酸素の会社の方が「1本でも無くなったら連絡くださいね。」
と言っていたのに、「2本あるから良いさ」と思ってしまっていた。
あいにくその日は土曜で、月曜でないと連絡はつかない。
自分の甘さを呪いたくなった。
夫が車からバッテリーを2台運んできた。
キャンプの時に活躍するヤツだ。
500Wと1500Wの2台がある。
大きい方に酸素濃縮器をつないだ。
これでしばらく安心。
もう一つのバッテリーで扇風機を回す。
停電の原因は?
停電が何時間続くのか気になる。
大昔のことだが、3日間電気がつかずに大変だった記憶が!
最近は停電がほぼないし、あったとしても数分で回復する。
30分ほど経っても回復しないので電力会社に電話してみた。
そこで教えてもらった先に連絡。
「今、現場に向かっている」ということ。
病人の事情を話して、
「どのくらいの時間がかかるかわかれば助かります」
と伝えた。
その後、親切に何度か連絡をもらった。
「今、現場に着いて原因究明中です」
「原因がわかって対応中です。もう少し待ってください。酸素は大丈夫ですか?」
優しい思いやりのある言葉に涙が出た。
停電から2時間半後、電気がついた。
同時に連絡も!「今復旧しました。そちらは付きましたか?」
お礼を述べて、停電の理由を聞いて良いか尋ねた。
言えないこともあるかもしれないし、守秘義務もあるだろうし。
すると、「茂りすぎた木が折れて電線を切ってしまった」という。
「あぁ、木が茂りすぎている所ありますね」と言うと
「気になる所があったら知らせてください」と仰る。
こういう方々が私たちの生活を支えてくれているのだ。
対応のすばらしさに胸を打たれたことであった。
虫の大量発生
母と私が寝ている和室にムカデが出た!
大変だ!!
今年はあちこちの家でいろんな虫が大量発生している。
話は聞いていたが、ムカデとは!!
市販の薬剤を散布した。
部屋を閉め切って20分後に恐る恐る部屋を開けると…。
赤ちゃんみたいなヤツが数匹畳に落ちている!
死んではいないから、凍るタイプのスプレーを吹きかける。
こんな事を毎日したのだが、ついに私が刺されてしまった!
夜中に違和感を感じて目を開けると、手の上を小さなヤツが這っている。
「きゃーーーーー!!!」叫んで振り払ったときチカッとしたのだ。
母の方に行ったら大変だから、まずは退治。
次に、刺されたところを水道で流して、揉み出した。
薬をたっぷり塗ったけど、怖くて眠れない。
みるみるうちに腫れてきた。
この日以降、安心して眠れない。
毎日薬剤散布はしているけど、ついに大物が出た!!
和室の隣で、ボトッと音がしたと思ったら大きな奴が落ちている。
また「きゃーーーーー!!!!!」だ。
きっと小さなヤツの親だな。
ムカデは1回の産卵で50個くらい産むと聞いた。
精神的に参ってしまい、とうとう業者に来てもらうことに。
お金はかかるけど、仕方がない。
部屋の中と、家の周りの対策。
今後の対策の仕方も教えてもらった。
こんなことは人生初めてだ。
夏の恐怖!!
エアコンが壊れた!
いい加減、エアコンの掃除を頼もうと思ったのだ。
母は肺の病気だから、エアコンの内部の汚れがおそろしい。
家じゅうの4台をまとめてお願いした。
だけど10年過ぎているものは掃除をしないと言われてショック!!
母と私が寝ている部屋のエアコンはとっくに10年過ぎている。
ここを掃除してもらいたいのに!
と言っていたら作動さえしなくなった。
暑くて眠れない。
隣のリビングにベッドを移す。
ここのエアコンも動きが怪しい。
外が暑すぎるから冷えないのかと思っていたが。
扇風機1台、サーキュレーター2台をフル回転。
夜は少しは冷えるが、昼間は暑くてたまらない。
明らかに壊れている。
脳みそが煮えそうだ。
仕方がない!買おう!!エアコン2台を!!!
和室は8畳用を、リビングはキッチンつながりだから大きなヤツを。
電気屋さんに電話して注文。
5日ほど待った。
この辛い5日間を私は忘れない。
母の背中に冷却パットを当て、おでこに冷えピタを当て。
ぬくもったら替えて。
濡らしたタオルで母の顔や体を拭いて。
新しいエアコンが付いたときの喜びといったら!!
お金?
何とかなるさ。健康が大事、命が大事。
夏の恐怖でした。