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花より団子よりお品書き


先日、古民家カフェへ行った。
古い民家を使った店内には本棚や蓄音機が置かれ、趣のある素敵な空間が作られていた。


私と友人が通された席は縁側のロッキングチェアだった。
窓の外には柿の木があり、木漏れ日を浴びながらロッキングチェアに揺られる。
注文したスコーンもコーヒーも美味しい。
店主の笑顔も素敵。
あぁ、なんとも贅沢な時間。

そんなカフェで一番印象に残ったものがある。
メニューだ。


そのカフェのメニューは原稿用紙だった。


ハードカバーの冊子を開くと、学生の頃読書感想文でお世話になったあの原稿用紙が、二つ折りにされ何枚も綴じてあり、小豆色の罫線が引かれたマスに手書きでメニューが書かれていた。

こ、これは、とても新鮮で魅力的だ!
何にそこまで感動したのか今でもうまく言語化できないけれど、原稿用紙に記されたメニューが私にはとてつもなく魅力的に見えた。


お店を後にしてからも「スコーンの美味しかったカフェ」や「内装の素敵なカフェ」ではなく「メニューが原稿用紙のカフェ」として私の中に刻まれた。


和の空間を作るための演出というよりも
店主のちょっとした思いつきに感じられたことも好印象をもったひとつかもしれない。

また、
まさかこんなところで出会うとは!という
意外性も魅力を増幅させていると思う。


原稿用紙はアンティーク家具のように
それひとつあるだけで輝くものでは無い。

それがメニュー表になるだけでこうも印象が変わるとは。


そうやって置かれている場所が変わったり
扱い方を変えるだけで急に輝いてみえることがある。
人も物も。




そういえば、
なんで日用品がカプセルトイでミニチュアになると
あんなに可愛く見えるんだろうね。