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ミサンガ 見さ

花かんむりを作る。
猫ふんじゃったを弾く。
まわりの子達にできることが
私にはできなかった。

今でも不思議だ。
花かんむりはまだわかる
けれど、どうしてあの頃、猫ふんじゃったを弾ける子が多かったのだろう。
どこでどう、当たり前のように覚えてきていたのだろう。



すっかり大人になってから、
友人に「ミサンガを作ろう」と誘われた。
推しのイメージカラーで作りたいのだと言う。
楽しそうなので誘いにのった。

当日、私が「ミサンガの作り方を知らない」と言うと友人は驚いていた。
「中高生の頃に作らなかった?」と。

作らなかった。
作っている子達を見ていただけだった。


そういえば花かんむりも猫ふんじゃったも
「すごいね」って見てるだけで
結局私は覚えようとしなかったな。


誰かを見て、興味が湧いて、自分もやってみる。
きっとそうやってみんな覚えていく。
それが流行や文化になる。



私にも好奇心はたくさんあって、
いろんなことに触れてきたつもりだ。
自分で思っていたよりも あの頃の私は
大きな潮流から離れて、
ひとりで漂っていたことを
たまーに痛感する。



その日初めて編んだミサンガは模様がちくはぐで捩れていた。



私はいまだに UNOも大富豪も
ルールを知らない。
ミサンガの編み方ももう覚えていない。