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エヌビディア社の2024年2~4月期決算を経理屋が分析してわかったこと

半導体大手の四半期決算が、予想を上回ったということで、大いに世間の評判を賑わせているのを受け、一体どのような決算内容なのかを自分なりに分析してみる。
半導体業界や、このエヌビディア社について、それほどの知識を持ち合わせていないが、それも一つのポジションであると考え、決算報告の分析を行い、そこから読み取れる事象を著述したいと考えている。

四半期業績の分析 (利益額の増加幅がとんでもない!)

nvidia社のの2024年~4月期に関する、5月24日発表のニュースリリースを受けて、公開情報などを分析することにより、長年経理に携わってきた視点から分析してみる。
以下は、今回公表されたnvidia社の四半期決算数字をグラフ化して見易くしたものである。


グラフの全体は、売上高を示している。1年前の2023年2~4月期に比べて、今年の2~4月期は売上高が3.6倍になっている。
右端の水色の部分が、営業利益であるが、こちらは1年前に比べて、なんと8倍と大幅に増加し、率でも2倍以上の64.9%という驚異的な利益率であることがわかる。
この急激な売上高の増加は、遅くとも1期前の2023年11月以降から始まっていたことが見て取れる。

更なる分析 (えー〜!利益率65%って、何?)

売上高は、1年前に比べて3.6倍と非常に大きく伸びたが、売上原価は2.2倍、営業経費は1.4倍と低く抑えられており、これが大幅増益の理由である。

内訳を見ると、売上原価比率は2023年2~4月期で35.4%であったが、それを14%近く削減して21.6%に至っている。

売上原価は売上高に比例するのが通常であるが、それが上記のように大幅な低減が可能となったのはどのような事情によるものかに大いに興味が湧くところである。この点について、後ほど分析する。

営業経費は、ある程度固定的であることが期待されるが、売上高が3.6倍に増加する中、1.4倍増程度の増加に抑えられている。経理・総務などの管理部門は、売上高が伸びても特に短期的には大きくなることはないはずであるが、営業部門や実際の顧客に向かい合うシステム開発の部隊なども売上高増加に比べるとさほどの増員となっていないことが想像される。

売上高が3.6倍と伸びる中、売上原価を大幅低減し、営業経費の伸びを抑えていることが利益急拡大の大まかな状況である。

セグメント別売上高の分析 (データセンターの売上が爆あがり!)

同じ期間に対する売上高の内訳は以下の通り。
(下のグラフは、本年5月24日付ニュースリリース資料の数字を元に作成。)

データセンターの売上高の伸びは5倍以上であり、nvidia社の全体の売上高増大はひとえにデータセンターによるものであるのが一目瞭然である。
2番目のセグメントであるゲーミングは、1年前に比べて18%の伸びである。
3番目以降の項目の売上高は、上記2つと比べると微々たる額である。

セグメント別コスト分析 (爆発的利益額の増大要因は、何?)

四半期の数字には、セグメント別の損益内訳が無かったので、2024年1月期の決算発表の3年分の数字から分析を行う。
(グラフは、2024年1月28日付決算発表資料を元に筆者が作成)


売上高が急拡大しているデータセンター向けを含むコンピューティング&ネットワークが、極めて特徴的である。

コンピューティング&ネットワークの売上高は1年間で3.1倍の増加を示したが、ピンク色の「売上原価+営業経費」は1.5倍に留まっており、売上高に占める比率は66.3%から32.5%と半減している。

グラフィックスのセグメントに関しては、コスト比率が概ね50〜60%を行ったり来たりしている。コンピューティング&ネットワークに比べると見劣りしてしまうように思えてしまうが、十分に低いコストであり、以上なほど高い利益率と言える。

「コンピューティング&ネットワーク」の考察 (筆者の妄想?)

このように極めて低いコスト比率が達成できた背景を推測すると、以下が考えられる。

  1. より付加価値の高いシステムの販売を実現(より高度かつ複雑で、高速処理のシステム)

  2. サーバーなどのハード部分に対して、プログラムなどソフト売上比率の拡大

  3. プログラムソフト開発におけるN倍化の実現(共通プラットフォーム開発など)


1.に関しては、人工知能を実装したシステムの普及が急拡大する中、さらに高度で使い勝手の良い、映像などではよりリアルのものが求められる中、同社に対する需要はますます高まるものと思われる。

2.については、売上原価が大きく抑えられていることを考えみるとき、サーバーなどのハードを含んだシステムの販売を行なっていることに思い至った。「ハード+ソフト」で販売していることを考えるとき、システムとしてもプログラムソフトの比率が高まった商品の販売なり、ハードの伴わないサービスの売上の増加などが起こっているものと想像した次第である。

3.については、それでも売上高に経費が追随していないことをどう説明するかと考えた時、システムの開発において複数のシステムに利用可能なプラットフォームの利用や、ひょっとするとAIによるプログラミングのようなことが行われているのだろうか?と妄想を逞しくしている次第。いずれにせよ、驚異的なイノベーションによってコスト低減が図られているものと推測する。

まとめ 

nvidia社が、今後も継続的に現在の驚異的な好決算を持続できるかどうかは、競合他社やデータセンターを購入している顧客との関係にもよると思われる。

人工知能などのより高度で使い勝手の良いシステムの利用が加速度的に拡大する現在、今後も同社の動向に目が離せない。


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