「林原めぐみの 全部キャラからおそわった 今を生き抜く力」

「林原めぐみの
 全部キャラからおそわった
 今を生き抜く力」林原めぐみ

言わずと知れた超級声優、林原めぐみの半生ディスコグラフィーと、それぞれのキャラクターを通して考えたり感じたことが綴られています。かなり密度が濃くて、思い出に浸りながら楽しめます。

ガンダム0080のイベントピンチヒッターの経験がのちに歌う声優というジャンルを切り開いていったり、幽遊白書の幻海の呪文詠唱へのダメ出しがその後のスレイヤーズのドラグスレイブへと繋がっていったり。らんま、サザンアイズ、カウボーイビバップ、バカボン、、などなど珠玉のエピソード満載。

ちょうどエヴァが公開されたこのタイミング。
感情が“ない”のではなく“知らない”綾波レイの声を心理学の本を読み漁りながら作りあげて行ったエピソードとその考察は一読の価値ありです。セリフと言葉と感情とその背景の混ぜ方を掘り下げて吸収していく様は、レジェンド達をして“化け物”と言わしめます。

キャラクターとしてマイクの前に立つまえに、そのキャラクターを取り巻く環境や相手をより観察し、取り入れて、そこの住人になる。
これはラジオでのトークですが、声優を目指す若者へのアドバイスを聞かれた彼女は、こう答えています。
「好きな人、嫌いな人、驚くような人
、、、全部自分が演じるつもりで、
いただきマースと思って観察してみて」

夢、経験、全力の硬度。
化け物が化け物たる所以が言語化されている、
ポップに見えて骨太な一冊です!

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