幸せになる秘訣
4歳の娘は最近、ままごとに嵌っている。
家の中はもちろん、図書館やスーパー、その気になれば、どんな場所でも、周りの人間を巻き込んで始まる。
ある日のお昼時、近所の公園で、それは始まった。
その公園の遊具は、階段や滑り台や雲梯(うんてい)が一体となっており、滑り台踊り場の真下には扉が付いていて、お家を彷彿させる作りとなっていた。それがトリガーとなり、
「パパがお家で待っていて、ミクが遊びに行くから、ピンポーンてなったら、どちら様ですか?って、出てきてね。」
と言われる始末。これを気が済むまで、エンドレスに繰り返す。
「ピンポーン🎵」と言う娘に対し、台本通り私は、
「はーい。どちら様ですか?」と答える。
「ヤマト運輸です〜!」と話す娘。
今日は、Amazonの荷物が届く設定かと思いきや、このヤマト運輸の配達員は、どんどん家の中に入ってくる。
すると突然、大声で
「へー、パパの家って公園なんだ?」
と、言い出した。
そ、そんなわけないだろ!やめなさい笑。周りのお母さんたちが失笑しているだろ!様々な事情があって、そういう方々もいらっしゃるかもしれませんが、パパは今のところそういう状況に陥ってはいないんだよ。全く、恥ずかしいったら、ありゃしない。
と、まぁ、こんな愉快な日常を過ごせているのも、5年前にある決断をしたのがきっかけだった。
当時は、結婚して1年半、なかなか子宝に恵まれず、それでも何とかなるかなと考えていた矢先、10個下の25歳の後輩が不妊治療をしているというのを聞いた。
まだ若いのに妊活しているなんてと、その意識の高さに驚いたと同時に、自分たちもしなければならないと言う焦燥感を抱いたのをよく覚えている。
すぐに近所の産婦人科を予約し、治療に入った。
夫婦生活があっても、1年以上妊娠しない場合、それは不妊扱いになるというのを初めて知った。
第一段階である、女性が子供ができやすくなる日を狙って性交するというタイミング法は、年齢や状況を鑑みて飛ばす事になり、2段階からの治療になった。
その治療とは、排卵誘発剤を、妻のお尻に打ち、その後性交すると言うものだった。
うまくいかない場合は、3段階目である、活動力のある精子を、子宮に器具で送り込む人工受精。それでもダメな場合は、卵子を取り出し、精子を注入する体外受精という4段階目になると説明を受けた。
この2段階目の排卵誘発剤の注射がものすごい痛いらしい。
それでも妻は必死に耐えて頑張ってくれ、幸運にも1回目の治療で妊娠することができた。それがこの子、ミクである。
あの時、決断して本当によかった。
その後、2人目が欲しく不妊治療するも、人工授精までしたが、妊娠には至らず。
治療の途中で転勤することになり、通っていた病院に行けなくなるため、一旦中断。
引っ越した街での生活の中で、普通妊娠が叶うも流産してしまう。
今も2人目が欲しくて試行錯誤しているが、なかなかコウノトリは来てくれない。
中学生の頃は、中に出してしまえば、すぐに妊娠すると思っていたし、ミクが出来た時も、1回目の治療で妊娠できたこともあって、不妊治療をすればすぐできるのかなとも思っていた。しかしそれは飛んだ勘違いだった。子供が出来る、妊娠するというのは奇跡なんだなぁと、しみじみ思う。
毎日風呂に入っていても、「パパくさい、あっち行って!」と言われるし、
保育園の送り迎えも、ご飯を食べさせるのも、一緒に寝るのも、お出掛けするのも、何でもかんでも「ママがいい!」と言われるし、
風呂にも中々入らないし、部屋は散らかし放題、ご飯は残して、お菓子ばかり食べるし、寝る前にお腹が減ったと喚き出す。
オモチャ売場に2時間居座るし、YouTube見せろと騒ぐ。
共働きで家事や育児もままならず、イライラする事も多いし、仕事で嫌なことも多々あるが、私は今、とても幸せです。
あの時、妻が不妊治療にチャレンジしてくれて、本当に良かった。そして、たとえ今後どんな事があっても、子どもを設ける決断をした事を、正解だと思えるようにしていこうと、強く思う。
キングコングの西野亮廣さんが以前、何かの折で、
「挑戦するのに、全ての準備が整う事は無い。大事なのは、出した答えを正解にしていく事だ!」
と、話されていたが、まさにその通りだと思う。
未来という不確実性の高いものを、自分の納得のいく形にするためには、飛び込んでみて、走りながら軌道修正していくのが、1番効果的だ。
出した答えを正解にしていく。何事も、それが幸せになる秘訣だな。
「次は、ミクがお医者さんになって、今日はどうしましたか?って聞くから、お腹が痛いんですぅ〜って、言って入って来てね❤️」