『俺は失敗作』その3

『俺は失敗作』その3

21『俺は失敗作』

俺は失敗作が、続いて書かれている、ということは、俺が失敗作だということが、非常に現実味を帯びて来た、という事が明白になった明証となるだろう。いくぶん、俺は、どうやらおかしかったんだ、初めから、存在論で言うところの、失敗作さ。

しかし、実のところ、この、俺は失敗作を書いて居ると、自然と気分がやわらぐ感じがするのだ。不可思議なことだが、一体全体、どうした効用だろうか。俺自身が、俺が失敗作だと認めることで、楽になれるとしたら、それは良いことかもしれない。

22『俺は失敗作』

異常なる、信号機の点滅により、どうすれば良いか分からなくなった、ドライバーなら、俺はとっくに、まっしぐらで、自滅して居るだろう。そんな当たり前の様なことは、ここで述べても、仕方が無いのであるが、書くネタにはなって居る。

畢竟、俺の、俺は失敗作という小説は、何やら、俺という実体を、解明解剖するためにあるらしい。だとすれば、どうすれば良い。書けることだけを、書ける範囲で、書いて置くことが、俺が失敗しないことに、なるかもしれないのだ。

23『俺は失敗作』

とんでもないよ、俺が失敗作じゃないなんて、そんな事が有り得るのか、と疑問符が脳内で、反芻する。自称、俺は失敗作、だとしたら、とんだ勘違いだろう。俺の失敗は、本物だよ。本当に、俺は失敗作なんだ、自殺だけは避けないとな。

それにしても、世界は難しいことが多すぎる。多過ぎて、どうして良いか分からないくらいだ。この執筆という行為だって、腕や指は疲れるし、頭も首も居たくなるようなことがある。であるからして、こんな小説を書くということは、一般的に見て、異常なことなんだ。

24『俺は失敗作』

俺は、こうしてこの小説を書き進めているが、それがどうした、と神に裁断されたら、息の根も止まるね。どうだろう、しかし、息の根が止まっても、俺の体は、執筆を続けるだろう。そんなことが出来るのか、それは、やった者にしか分かるまい。

それに、裁断だなんて、俺は俺が失敗作だと神が言っている様なものじゃないか、匿名希望だが、そうも行かないだろう。全知全能の神との闘いなどしたって、惨敗は確実だろう。何故なら、俺は失敗作という小説を書く、俺は、失敗作だからさ。

25『俺は失敗作』

すみません、ってね。皆さんすみません、ってね。俺が失敗作だったから、おかしくなるんだ物事は。そんな風に思う、思えばこそ、更に、こうやって、俺は失敗作を書いて居るのであるし、それが書くための、原因だろうと思われるんだ。

しかし、もう良いだろう。時は満ちたのだ。ただ、純粋に、俺は、俺は失敗作だから、期待しないでくれと、言うことが、何よりの安らぎさ。こうやって、独白出来るだけでも、本当は、本当に、ありがたいことなんだ。俺は、書いて居て、そう思う。

26『俺は失敗作』

俺が失敗作だということは、俺に対する俺の認識である。事実とか真実とか、そういうものは、自分で判断できるものと、できないものがある。しかし、外界と接する時、俺は昔から、たえず失敗して来た。まさに、俺は失敗作、を書く資格があるのだ。

であるからして、俺は失敗作だが、そのことが、どうか誰かに影響を与え、それが負のエネルギーにならないことだけを、願っているのであるが、良く分からないな。それで。こうやって、つらつらと、小説を書いて居る、という訳なのである。

27『俺は失敗作』

誰しもが、失敗をするものだ。しかし、それにも頻度というものがある。余りに失敗が多いと、一体全体、どうしたのだと、マジョリティーは俺を訝し気に見るだろう。そうなのである、まさに、俺はそういう、マイノリティーにカテゴライズされて居る。

そう思うのであるから、仕方が無いのだが、もはや、自分が失敗をしているかなんて、そんなことはどうでも良い、と思い出した。すると、俺は失敗作という小説が書けて居る時点で、失敗は成功の元、と言えるくらいの、場所に居るんじゃないか、と思った。

28『俺は失敗作』

俺は失敗作、どころの話ではない。世界では戦争が起こったり、自然災害が起こったりして居る。これらは、神による失敗なのであって、天地創造の神が、何かどうにかしている、と言ったとしても、無神論者は、気に食わないだろう。

と、それは置いて置いて、ともかく、俺は失敗作だから、出来るだけ、人の役に立つ様なことをしないとな、と思うのだ。そうだろう、失敗作が出来る事と言ったら、奉仕くらいだろう。しかし、何から始めて良いかも分からない俺は、失敗作。

29『俺は失敗作』

俺は失敗作3も、随分と書くことが出来たが、何より、文学の神様、ありがとう、という感じだ。小説家は、小説の先が見えてくると、殊の外、気楽になるものなのである。俺は失敗作か、そうか、やはり失敗作なんだろうな、という感じだ。

しかし、未来を見れば、やはり暗い未来の様だから、俺はどうしたら良いか、点で分からないんだ。それでも、俺は生きるよ、生きるために、こうやって、自己批判しながら、前進しようとして居るんだ。俺は失敗作なのであるから。

30『俺は失敗作』

分かって貰えたかい、俺は期待されても、それに沿う能力のない人間なんだ。だから、言っている訳だ、俺は失敗作だ、と何度もね。それはそれで、分かって貰えたら、それは嬉しいことなんだ。俺も、気楽に生きて行けるから。

ここで、『俺は失敗作』その3、も終わるが、その1、その2、と書いて来て、この、その3、を書き終えて、随分気分が楽になった。誰にも期待されない失敗作としての俺は、ただただ、この先も、現世に置いて、失敗作なのだから、覚えて置いてくれ給え。

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