小旅行記ー東京(頭狂)日記ー

去年、一泊二日で、初めて一人で、東京に行った。

黒木渚さんの、ライブを観るというのが、最大の目的ではあったが、何かと様々に、得るものがあった。云わば、小旅行である。

ノートに順番に行く当てを書き残す様に、脳内に順路を残して、歩いて行く。ライブ会場の周囲に着いて、石の芸術品みたいなところに、腰かけて、ライブまでの時間を費やした。

現在でもまだ続いている、声がはっきりと出ない、と言う状況下においても、何、難しいことはない、メモ帳に言葉を書き込んで、警備員さんなどに尋ねると、東京の難しい回路の様な街が、縮図に見えてくる。

実はその日、故安倍晋三元首相が、撃たれた日だった。

何か、自分が関西から離れたことで、故安倍晋三元首相を守れなかったのではないか、という大それた空想の責務が、肩に圧し掛かった。無論、そんなことは、偶然である。東京へ向かう新幹線の中で、その一報を聞き、時代と言うものの流れを感じたものだ。

楽しいライブだった。このライブのことは、もう小説家になろう、のほうで、様々に刻銘に書いているので、楽しいライブだった、とだけ記しておく。

ライブ後、タクシーを探して、予約していた、ビジネスホテルの様な宿まで移動し、受付を済ませて、部屋へと入った。実家に居ることが多い自分は、こういう感じで、一人で宿の部屋に入るということは、初めてだった。学生時代、友人たちとの旅行で、旅行したことは何度もあるが、今回は一人だ。まさに、小旅行なのである。東京一人旅なのである。クーラーをつけて、リュックに入れていた飲み物を出して、一服する。明日の起きる時間を確認して、少しゆったりとしながら、ライブの余韻に浸っていた。

もうすぐ寝ようと思い、部屋の電気を消す。あとは、明日起きて帰るだけだ、責務は果たした。東京(頭狂)日記、と言う感じで、眠りに入る。頭を使い過ぎて、狂う程に疲れたが、東京一人旅は、見事に成功した。

翌朝起きて、タクシーで東京駅まで向かい、新幹線に乗って、帰路につく。

小旅行記ー東京(頭狂)日記ー、と題した、東京一人旅の、一幕であった。

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