5・『猫と不条理』
5・『猫と不条理』
㈠
どうしたことか、今日の夜道には、猫が三匹も居る。しかし、俺は少し離れて歩いていたので、別段気には留めずに、其の侭歩いていた。すると、妙な鳴き声で鳴いている。
㈡
それはそれで、猫の一動態なのだが、じっと目を凝らすと、三匹はさっと、三方向に分かれて、消え去った。やはり、俺は離れて歩いて居たので、どの方向に動いたか、判別出来なかった。
㈢
随分、そこから離れてふと振り返ると、また、三匹、猫が集まって、少し違う場所で鳴いている。そして、離れて歩くにつれて、鳴き声も聞こえなくなった。今日はそんな、夜道だった。