「咳止め」はなぜ効かないか
コロナ禍を経て、公共の場所などで咳をすることに対する周りの目線が厳しい世の中になった。我慢しようとすればいっそう咳き込むので、困っている人は多い。咳とは?そして咳の出る原因とは何なのか、および効果的な対策について知ってもらいたい。
咳の出るメカニズムは「反射」
皆さんは熱いヤカンに手を触れると、「アッ、手が熱いぞ。見たら煮えたぎっているヤカンに触れているではないか!火傷すると大変だから手を引っ込めよう」などと考える暇もなく、体が勝手に反応して手を引っ込めているはずだ。このような身を守るために自動的に起きる体の反応を反射と呼び、大脳は関係せず、その手前の延髄のレベルで瞬時の判断をしている。
突発的にでる咳は同じメカニズムで生じている。咳反射は、気道内の刺激に対して、肺に吸ってある空気を突発的に吹き出し、異物を排除しようとする体の反応だ。気道とは、鼻からのどを通って気管から肺に至る空気の通り道で、センサー=咳受容体が多数存在している。具体的には、刺激を完治すると、のどの声門を閉じ、呼吸に関する筋肉が収縮して肺の中の圧力を高め、そして声門を一気の開放することで急激に空気が押し出されることになる。これらの連関した動きを自動的におこない、身を守っているのだ。
咳止め薬の分類と働く仕組み
咳を抑える薬は鎮咳薬や咳止めと称されるが、大きく分けて2つの作用メカニズムがある。延髄の咳中枢に働く中枢性鎮咳薬と、気道のセンサーに働く末梢性鎮咳薬だ。
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