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11時11分

 ふと時計に目をやると、11時11分だった。

 さっきもらって食べたお菓子のくずがビニール袋の中で、そのままの形状で残っている。頭を動かすために食べたお菓子と、眠いからと摂った少量のカフェインが、余計に私の身体を刺激する。

 それでも、何とか仕事を終えた。来週の見通しを保つための仕事だった。

 人は、それをやらなくてもいいと、言うかもしれない。

 でも、私はやる。何故か自分で言語化できなかった頃から、やり続けていた。

 つい先日、派手に転んだ。

 お菓子のくずみたいに自分の体が宙にバラバラに舞うような感覚があった。幸い、擦り傷と軽い打撲で済んだことに、今でも感謝している。

 そして、まだ少し痛むけれど体を自由に動かせることにも有難いと思う。全てのタイミングで、全ての負を消化するかのような転倒だった。

 モヤモヤした消化できない想いも全て、持っていってくれたように感じるのだ。繊細な自分の世界に、パッと燃える揺らぎを得たように思う。

 物事は捉え方次第で、複雑な世界を作り出すことができる。微かであってもいい、どんな出来事にも希望がそこには存在していて、少しずつ顔を覗かせてくれるものだと思う。

 藁をもつかむという言葉があるが、その藁の先についた水滴は、自らを潤すことになるだろう。ささくれだった心の隅に一滴のオアシスができたのならば、そこから広げればいいのである。

 物理的に転んだことで、私はハッとさせられたのである。ここから立ち上がってまた頑張ればいいということに。

11時11分

 並んでスタートするような数字はもう一つの私の励みになってくれそうである。日本では少しずつ秋の装いを感じられる季節なのだろう。私が今、ここにいることを自分で意識して、前を向いて歩けば、今色づくどんな紅葉よりも輝いて、きらめいて、新しい世界を教えてくれるだろう。

 It‘s my calling


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家出猫
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