街の灯りが変わるとき
師走を待ち望む風の音が、私の耳をかすめるとき、街の灯りが変わるように、私の中の灯りもまた色合いの変化を遂げる。
イルミネーションに彩られたホール、行き交う人々の忙しなさは、寂しかった気持ちにパッと雪のような白さを付け加えて私の気持ちを縁取る。
私は、自分らしさの瓶の中でやっと、ここにきて溺れずにすんでいる。周りの音や光、目に映る世界が私を救うことがなかったとしても、私は、私でいるという確信を得ているとも言える。
そんな時、雪の結晶のような脆さもまた懐かしく感じるのである。一つとして同じものがない、雪の結晶。その一つになれたような錯覚さえも愛しい。
世界が止まることなく変わっていく中で、たった一つの贈り物をもらえるのであれば、私はもう一度その脆さを欲しいと訴えるのだと思う。
生きることが明日への渇望なら、脆弱なものへの渇望はまた、一つ生まれ変わる手段なのかもしれない。
夜明け前の曇りきった空の下、1日の始まりを願いながら今日もまた一歩一歩と進んでいく。
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