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未完成でもいい。

けいこさんは、漫画の原稿を前にして悩んでいました。キャラクターの表情やポーズに、どうしても納得がいかないのです。ふみおくんは、そんなけいこさんの様子をじっと見つめて、そっと声をかけました。

「おねえさん、むずかしい、お顔してるね。」

「ええ…私って、つくづく絵が未熟だと思うの。プロとして読者に見せるには、もっと上手くならなきゃ。それに、こんなに絵じゃ、高い原稿料をいただくの申し訳ないわ。

ふみおくんは、少しだけ考えてから、優しい笑顔で言いました。

「ねぇねぇ、おねえさん。里中満智子さんて知ってるでしょ。」

「もちろん。少女漫画界の巨匠だわ」

「その人がね、昔、

『その時点での完成度が大切』って、言ってたの」


けいこさんは驚いたようにふみおくんを見つめました。

「えっ!『その時点での完成度が大切』って、どいういうことかしら?」


「あのね、おねえさんは、とても一生懸命に描いているよね。

だったら、なにも恥ずかしがることないの。

そして、満足することがとても大切なの。」

「と……いうと?」

「一生懸命に描いたのなら、コンプレックスを感じる必要はないの。

その時点での、じぶんを、褒めてあげるの。

満足をあじわうの」

「でも、それで満足してしまったら、成長が止まってしまわない?」

ふみおくんは、けいこさんの手を握り、にっこりと笑いました。

「あのね、おねえさん。満足することは、今の自分を受け入れることなんだよ。

でも、それでおしまいじゃないの。
満足したら、新しいスタートが切れるの。
今の完成度に満足することが、次の成長の準備なんだよ。」

「わかったわ、その満足が新しいスタートになるのね!」

ふみおくんは、小さく頷いて言いました。

「そうなの。完成と未完成が、
いつもなかよく、一緒に歩いているの。
満足しながら、成長するのがいちばんなの」


けいこさんは、ふみおくんを強く抱きしめ、こう言いました。

「ふみおちゃん、ありがとう!大好き!」

今の自分とに満足しながら、

さらに、成長を目指すことにするわ。」


けいこさんの目が、

キラキラと輝き出しました。


「あ、おねえさんの、チャーミングさ、

今の時点で完成したよ」


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**未完成でも、その時点での完成度を大切に**


私たちは、何かを「未完成」と感じるとき、不安や焦りを抱くことが多いです。
しかし、その瞬間の「完成度」を大切にすることが大事なのです。
今できるベストを尽くし、それに満足することで、
私たちは自分に対するコンプレックスを手放すことができます。

大切なのは、満足することと、次の成長を常に同時に意識することです。

満足は「ゴール」ではなく、新たな「スタート地点」でもあるのです。

★きょうは、こんなひとかけらでした。

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