彼らがくれた極彩色は、

ザーザーと砂嵐のみが、唯(ただ)一平等に流れ続ける小さな小さな80年代型のテレビを、ただ見続けているような、メランコリーの宵に。

ふと手元を見ると、白と黒と橙のリモコンがいつの間にか握られていて。私はソレを使って、なにとなくチャンネルを変えてみた。

そうすると、万年、砂嵐しか流れていなかったテレビの画面には、極彩色の絶景が軒を連ねていた。

私は瞳に初めて生気を宿した。

六花、銀華、六つの花。
浄土の六蝶がひしめき舞いたと思えば、次には三つ巴のロミオが迎えにやってくる。九つの、太平雪の如き青白の輝き。飛雪のようにパッパッと、次々姿を変えカットされゆくダイジェストのような豪華絢爛の九つの色香に、私は思わず、その小さな画面に食い入るように、
前のめりになった。

美しい、唯美しいと心から思った。
その歌声が、表情が、汗が、指先まで揃えられた舞が、
信念が、意地が、プライドが、きっと捨ててきたであろう夢が、
憧れが。彼らが背を向けてきた、未来の為に、
捨ててきたものが。
その全てが、唯、心から貴いと、想い浸り、心ごと、凝り固まった雪さえ溶かすほどの情熱に浮かされ、
瞬きさえ出来ない宵は。

きっとこれからも、やってくるのであろう。

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