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アドラー

19世紀生まれのユダヤ系オーストリア人心理学者、アルフレッド・アドラー。「自己啓発の父」として注目されている

勝手なもので、ガマンしている人に限って、やがて「こんなにガマンしてるのに、わかってもらえない」と不満に思うのです。これは不健康ですよね。だから、ガマンするぐらいだったら、思いをきちんと言ったほうがいいです。

怖い上司にひどいことを言われた。でも言い返せない。ガマンしよう。しかしながら、そのガマンは上司に伝わりません。上司は相変わらずひどいことを言うでしょう。

アドラーの考えかたでは、「怖い上司」はあなたが作り出している、ということになります。あなたとの関係でだけ、そのおじさんは「怖い上司」になることを余儀なくされているのです。だからあなたがすべきことは、自分の対応のしかたに改善の余地がないかを考えることです。

かりに昨日、上司にひどいことを言われたとします。だけどそれは昨日の、終わった話です。これからもずっとそう言われるわけではありません。相手がどうであれ、こっちが深刻になってはいけないのです。次に上司の前に立ったら、「よし、今日はそう来るか」とか、楽しんでやるぐらいの気持ちでいいと思いますよ。

あなたが普通に上司に接すれば、やがては上司も「この人間に対しては、ほかの人に対してするように、特別な自分を見せなくてもいい」と気づくようになります。

そもそも偉そうにする上司は、劣等感がすごく強い人なのです。だから、「部下に普通に接したら、馬鹿にされてしまう」と考えてしまうのです。こうした人は、部下の側が普通に接すれば変わるかもしれません。

アドラーは、すべての人間関係はヨコの関係である、と考えます。逆に、無能な上司やその上司を怖がる人は、タテの人間関係を自明のものだと思っているのですね。それを崩すのが怖いのです。だけどタテの関係を崩して、普通のヨコの関係を築くことは可能なのです。そのために必要なのは、勇気だけです。

自分の上司は話も通じない理不尽きわまる人間だ、という人もいるでしょう。アドラーはそんな人のために、「課題の分離」という重要な考えかたを用意しています。

私たちは、何かを選択するとき、常に「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他人の課題を分離しなければなりません。その方法はシンプルです。

「その選択の結果、責任を最終的に引き受けるのは誰か?」

を考えるのです。そして他人の課題には介入せず、自分の課題には介入させない。そうすれば、対人関係にかかわる問題は一気に解決します。

たとえば、何をしようが怒鳴るだけの上司がいるとします。ですが彼の理不尽な感情は、あなたの課題ではありません。上司が自分で処理すべき課題です。あなたがすべきことは、自分ができる仕事をきっちりこなすことのはずです。上司の感情に対応することは、あなたの仕事ではありませんよね。

自分でできることとできないことを見極める。アドラーはこのことを「肯定的なあきらめ」と表現しています。

逆に、上司の理不尽な命令のままに働いて、結果として大トラブルが起こったら、あなたはその責任を引き受けるのですか。きっと上司のせいだ、と思うことでしょう。

そんなあなたは、原因論に縛られ、仕事に失敗する口実として、上司の存在を用意しているのです。これを目的論に即して考えれば、あなたは「真っ当な仕事ができない自分を認めたくないから、理不尽な上司を作り出している」ということになるのです。

そのとき、あなたは上司という言い訳を用意して責任転嫁をする、「人生の嘘」に陥ってしまっているのです。

アドラー心理学の教え 「今、ここ」を生きよう!

あなたの人生に対して、他人に責任を負わせてはいけません。同様に、過去の自分も他人です。「あのとき決めたから」というのも、過去の自分に責任を負わせて逃げる、「人生の嘘」です。過去は現在を縛るものではないのです。

同様に、未来で現在を縛るのもいけません。「いつか本気を出す」と、決断を先のばしにする人がいます。この人は「決断したくない」という目的を隠しているのです。決断したくないのなら、誰かが指示してくれるのを待つしかありません。だけど、人に決められた人生を送って、何が面白いのでしょうか。

もし選択を迫られたら、より後悔しそうな選択肢を選んだほうがいい。だって、どっちにしたって後悔するに決まっているんですから。でも、何もしないで後悔するのは「人生の嘘」に陥ることです。そうではなく、後悔するような選択肢を、自分で引き受ける覚悟を持つのです。後になって間違いに気づいたら、進路変更すればいいだけの話です。大事なのは、責任転嫁しないということです。

つまり、あなたも私も「今、ここ」を真剣に、全力で生きるべきなのです。

過去に何があっても、「今、ここ」には関係ありません。未来に上司が怒るかもしれないなんてことも、「今、ここ」で考えるべき課題ではありません。

隠された目的を直視して、「人生の嘘」を振り払い、勇気を持って責任を引き受け、ヨコの人間関係において周囲に働きかける。そうすれば、あなたも世界も、すべてがシンプルになる。アドラーは私たちにそう教えているのです。

カウンセリングの目的は、相談者の孤独感を癒すこと、相談者の混乱(頭の中の混乱、および情緒的混乱)を静めることです。
カウンセラーは、相手の話にひたすら耳を傾けます。相談者は、カウンセラーに話を聞いてもらうことで客観的に自己を見つめられるようになり、自分で問題を解決していきます。

アドラー心理学の特徴は、「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、フロイト的な「原因論」を根底から覆す「目的論」の立場をとるところにあります。

たとえば、「子どものころに虐待を受けたから、
大人になって社会でうまくやっていけない」と考えるのがフロイト的な原因論であるのに対し、
アドラー的な目的論では「社会に出て他者と関係を築きたくない言い訳として、
子どものころに虐待を受けた記憶を持ち出す」と考えます。

つまりアドラーによれば、
人は過去の「原因」によって突き動かされるのではなく、
いまの「目的」に沿って生きている。ということなのです。

アドラーは「人生(生き方)とはいつでも選択可能なものであり、
過去にどんなつらいことがあったとしても、
これからどう生きるかが重要である」と唱えました。
人は変われないのではなく、
ただ「変わらない」という
決心を下しているに過ぎない。

いま幸せを実感できない人に足りないのは、能力でもないし、
お金でもないし、恵まれた環境でもない。
変わること(幸せになること)に伴う「勇気」が足りないのだ。
それがアドラー心理学のベースになっています。

アドラー心理学の課題の分離を深く知り実践応用することができます。アドラーの名言の1つに「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言う言葉があります。「自分の課題と相手の課題を分けて考える」ことで、親子や家族でもお互いを尊重し、勇気づけし、高め合うことができるようになります。

 突発的に起こる出来事に対して柔軟に対応する能力が求められます。日々変化する現場ではそうして環境に対して臨機応変に柔軟に対応できるチーム作りは不可欠です。そのためには個人、そしてチームでの目標設定がしっかりされているかがその良し悪しを決めると言っても過言ではありません。チームを率いる立場の人がアドラー流コミュニケーション法を活用すればチーム内でのやり取りはスムーズになり、個人でもチームでも最大限の能力を引き出すことができるでしょう。

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