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ジェネリックな野党的な批判の解析

野党的な立場からの政権批判で、よく見かけるけれども決め付け感が強い論法があります。

>存在理由がはっきりせず惰性で続いている施策や利用の少ない公共施設をなくせば、財政健全化につながる。施策メニューや公共施設があることから無理やり捻り出して仕事(観光振興とか男女共同参画、高齢者福祉のイベントなど)がある。幹を伐れば枝葉が消えるから財政に余力が出来る。

例えば、広島県安芸高田市の石丸元市長は、このような発想で施設廃止などを進め、財源に余裕が出来たとその成果を胸を張って説明しておられました。安芸高田市以外でも、このような主張をする方々は珍しくありません。

一見するとお説ゴモットモのようですが、単に廃止したことが最適の選択であったのかは微妙なところです。施設が設置された以上は、また事業制度が制定された以上はそこに必要性があった訳で、そして存続を求める人が居る以上は何か役に立っていることになります。
無論、無尽蔵に予算を注ぎ込むことが許されるはずはないのですが、他の機能を持ち込むことで稼働効率を高めることは検討されるべきでしょう。ただ、政府の補助金が入っていると目的外使用として指導または補助金返還の請求があるので、これまでは簡単に創意工夫が実施できませんでした。つまり、無駄を生み出す構造的な原因が政府にあるケースを無視すべきではありません。

夏休みの学校をイベント会社に貸し出してスリラーハウスにする。使用料は学校運営に活用する。これは文部科学省が許しません。教育委員会も同様のことを言うでしょう。学校校舎を何と思っているのか?しかし、客観的には建築物(ハコ)以上でも以下でもありません。空間が空いているならば使って収益を得てハコの維持経費に充てる。合理性はありますが、ハコの存在理由から見て「ソグワナイ」となります。廃校にした後は宿泊施設にでも出来るのに、教育施設であるうちは認められない。感情が許さない以外の説明は出来ないでしょう。
それ合理的なのでしょうか?最近は学校のプールを民間委託する話が出ていますが、民間企業がトレーニングジムとして既存の体育館やプールを使用させることが普通になれば公費負担も軽減されていきます。学校側が使用料を払って使わせてもらう関係にすることで、維持費の割り勘仲間を増やすことが当たり前と言えるようになることが望まれます。

廃止する前に、基金や施設を角度を変えて見直してみる(再定義の)必要性が余り論じられないのが、各地での「無駄をなくし云々」論争あるあるです。「基金」でさえ、初期目的があったにしても若干広げるだけで話が変わります。例えば緑化基金が近年は使われないで余っている。でも緑化とは住民にとって心地よい緑の風景を創出することなのだから、景観を阻害する雑草の手入れに回してもよい、とは考えられないでしょうか。設置された当時は、開発が急激に進んで林地が日に日になくなっていく、これはヨロシクないという流れであったと想像できます。今は緑が余ってしまった。ならば適正量に維持するために緑化基金を使おうとか、街の景観形成に貢献するガーデニングを助成していこうとか、考えようはあります。簡単に「無駄、無駄、無駄・・・」と決め付けるのはどうかと思うのです。

>施設の運営が天下り先の第三セクターなので、素晴らしい企画なんか出てくるはずがない。

そういったケースが多いのは事実でしょう。札幌ドームから日本ハムファイターズが出て行った件でも、これは真理のように思えます。
ただ、構造的な観点を見過ごしています。行政機関が設置した施設の運営は住民の福利のために使用するといった規制が入り、これは当然のことですが、「住民の福利」なるものがあいまいです。

かつて、ある公設体育館でプロレス興行を認めなかったとかで注目された事例がありましたが、プロレスの地方巡業を楽しみにしていた住民からすれば残念至極なことです。公民館の音楽ホールでN響がコンサートをするならば使用が認められるでしょうが、過激なパフォーマンスをするヘビメタバンドならどうなのか?地域によっては断ることもあるでしょう。ウィーン少年合唱団のコンサートを宗教性を理由に断る事態は考えにくいのですが、新興宗教の教祖を賛美する生誕記念音楽祭だったら?

制約の境界があいまいなので、天下りであろうと誰であろうと、そもそも「攻めた」企画は提案し難いという事情があるので、公務員の創造性を理由に批判するのは無理があります。公務員というフワッとした制約がある以上、そんな企画は公共性がない!というクレームに怯えることになります。ハコが公共の資金で建設されたとしても、ハコはハコに過ぎず、維持費は官立・民立問わず発生してしまいます。

これからの時代は、役所立・役所営を基本として第三セクターに管理代行をさせるのではなく、官民ファンドの所有にして、役所がホールなどを使うときは使用料を払う、民間利用については違法でない限り何でも認めるという方式で公的負担の比率を減らすやり方を広めて、イベントへの助成を増やし利用率を向上させていくべき、と思います。うまく行かないので廃止!廃止!では、あまりにも安直だと思います。

※写真はマーケットと図書館を合体させた事例だそうです。

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