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高尚なお話よりも即効性のある観光施策があります
「(自民党次期総裁候補)石破氏の地方政策は『中央省庁の地方移転』や『地方でのデジタル技術の活用推進』など税金を使うものばかりで、収益の話も財源の話もない。ビジネスの観点から言えば『おとぎ話』の域を出ません。 そのうえ金融所得課税まで進めるというのですから、海外からの投資も富裕層も逃げてしまい、ますます日本にお金が回ってこなくなる。時代の流れに合っていないと感じます」
これは、ジャーナリスト大西康之さんによるご指摘。同時に石破氏は、観光の付加価値化という昔ながらの処方箋も提示されています。
定住人口の減少が続く地域において経済活性化を図るため交流人口を増やすというのは、かなり前から言われている地方活性化策ですが、交流人口の主なものは観光客になります。石破氏の「観光の付加価値化」が悪いとは申しませんが、実際に何をやるのかよく分からない戦術論よりも過去に成功したシンプルな施策があります。
それは、ETC利用の普通車および軽自動車、自動二輪車を対象に、休日限定ながら地方部の高速道路の通行料金を上限1000円にするという内容の事業で、リーマン・ショック後の2009年(平成21年)3月に始まり2011年(平成23年)6月まで実施されました。
政府の「高速道路のあり方検討有識者委員会」が、2011年(平成23年)の事業終了後にまとめた資料では、観光消費の拡大効果は約3600億円(年間)で、間接効果を含めた経済効果は同8000億円との試算結果が報告されています。「休日1000円」実施後5か月間(2009年4月から8月)における日帰り旅行の回数は、前年同期と比べて約1.3倍、宿泊旅行は約1.2倍の増加。高速道路の割引に要した額は、並行して実施された「休日5割引(1回の利用距離が普通車で71km未満、軽自動車で89km未満の場合に適用)」と合わせても、年間約1500億円とのこと。
どうですか、ぐだぐだと面倒なことをするよりも、交通費を削減すれば観光客は増加します。鉄道&飛行機バージョンを並行実施すればさらに効果が上がることでしょう。いやむしろ、そうしないと鉄道もしくは航空機の利用客を自動車利用に振り向けただけになりかねません。
効果は証明されているのですから、これを通年で実施すれば観光活性化はそれなりに実現します。無論、観光の付加価値を増す取組は別の話として大切なことですが、そっちから入っても効果が出るまでには余りにも時間が掛かります。
このような話をすると、渋滞の問題を挙げる向きもあるでしょう。それは時間帯で割引率を変えるとか、交通費を所得控除の対象にして事実上の通年割引きにするとか、工夫の余地は多くあると思います。
やるべきは交通費の引き下げ。そして、観光支出の所得税控除。(じゃらん、楽天トラベルなどOTAを含む旅行代理店の領収書で申告させればよいでしょう)ただ、オーバーツーリズムの激化を回避するために、対象地域を限定することは必要です。復興税なんてものを徴収されたのですから、地域振興減税を創っても問題ないはずです。