【楽器】教えるって難しいよね
かなーり昔、ギターの先生をやっていたことがあるよ。
あの頃は音楽を仕事にする為の「入り口」がわからなくて、出来ることはとにかく試していたんだ。その中のひとつに「先生」があったんだよ。
アルバイトで家庭教師をやったことがあったから、そういう感じなのかな?なんてぼんやりとした気持ちを持ちつつ、出来る限り丁寧に伝えようとして取り組んだつもりさ。1年間はやったと思うけど、長くは続かなかった。先生としての能力が無さすぎた。
当たり前だけど志望してくる生徒さんには色んなモチベーションの人がいる。
プロになりたいと興奮している中学生くんから、
aikoを弾き語りしたい主婦さん、
UKロックの雷に撃たれて髪の色が宇宙になった女の子、
もうデビューが決まっている青年、
色々だった。
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「プロになりたいと興奮している人」に教えるのが一番簡単なんだ。すごくシンプルだ。
ただ自分がやってきた練習や努力のポイントをしっかりと嘘なく伝えればいい。
すると「ヒヒーーン!」とニンジン🥕を見つけた馬の如く、勝手に爆走を始めるんだ。
若さの爆発だ。
「弾きたいです」と言って持ってきてくれた課題曲も、毎日弾いてるからすぐ出来る様になる。少なくとも毎回会うたびに上達している。
お父さんの転勤の都合で半年も一緒にできなかったけど、プロミュージシャンになっていたらいいなぁなんて思う。
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一番難しいのは、すごい上手くなりたいとかじゃなくて楽しみたい人に教えることだった。
結果的に、このタイプの方にうまく教えることが出来ない事実を感じて「先生は向いてない」と思って辞めたんだ。
楽器じゃなくてもそうだけど、
どうしたって基礎・基本ってものがある。
真剣にあーだこーだやった人なら、それが結局一番大事なのも分かると思う。
桜木に怒るゴリの気持ちだ。
その通りなのだ。
基本がぬるいと必ずつまずいてしまう。
そして来た道を引き返して改めてやり直すのは、最初からやるよりも厄介なことが多いのだ。
しかしこの基礎練、
これが死ぬほど地味なわけだ。
This is a pen.(これはペンです)
Oh,I see.(わかりました)
Is that an eraser?(あれは消しゴムですか?)
No,that's my mother.(いいえ、母です)
Oh,I see.(わかりました)
そりゃ退屈だよね。
毎週会うたびに
「あ、Dコードの押さえ方はですね…」
ってやってる僕たち。
タイムリープを繰り返したまま、
結局、Aメロを終えることなくあなたはフェードアウト。
僕たちの関係は終わってしまったね。
ごめんね、僕にあなたを導く能力が無かった。
あと、aikoの曲は難しいんだよ。
生徒が爆走する馬🐴タイプの場合、
「テロレロテロレロ…この運指練習を毎日10分でいいからやってね」
「ヒヒーン!」🥕
と、何故か取り引きが成立してしまうのだが、
これは先生としての能力というよりかは、馬任せの結果だったんだろう。
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人に教えるってホント難しい。
教えるのがうまい人ってすごいと思う。
鍵盤奏者の先輩が、
「練習は絶対したくないけどギターを弾けるようになりたいから、教えて。いい?練習はしない。練習ゼロでめちゃカッコよく弾けるようにして。」
って言ってきたから、
「大丈夫です。弾ける日は来ないので、まずは諦めてください。」
と答えるのが僕の限界さ