課長さんが初志を貫徹する話
【主任】・・・久しぶりのひどい宴会でした。
【課長】そうだねぇ・・・昭和型の宴会は疲れるよねぇ
昭和生まれのくせに何言ってんですか?
平成の時間を一番長く生きてるんだから、俺は平成の男なんだよ。
昭和のおじさんっぽい屁理屈です。居酒屋で酔っ払いが喚いている謎理論です。
まぁいいや、でも、あんな宴会はもう最後にしたいなぁ・・・
そうですか・・・昨日の宴会で少し会費を取りすぎたらしく幹事の中では積み立てようかという話も出てたのですが・・・
あほかっ!分配しろよ!
幹事の間でもそういう結論にはなりました。
んで、いくら返ってくるの?
私の分と課長の分、一人1500円で3000円預かっています。
なんで主任さんが俺の分持ってんだよ!
そこで、相談なんですが・・・
嫌です。
内容ぐらい聞いてくださいよ〜 お得な提案なんですから〜
原資が3000円で変わらず、お金を渡す前に相談があるって言われたら、ロクでもない相談に決まってるだろ!
大企業の課長さんに1500円などという端金をお渡しするのもどうかと思ったので、増やす提案をしたいと思います。
じゃあ提案して見てよ、乗るかどうかは聞いてから決めるから。
簡単な話ですよ。ここに3つの箱があります。
・・・なんか古典的な感じだね
この箱の一つに我々の3000円を入れます。そして、3つの箱をわからないように入れ替えて・・・当たりを選ぶことができれば3000円が課長さんのものになります。
外れた場合は、箱の中の3000円はどうなるの?
親の私が手数料としていただきます。
期待値が1000円になってんじゃん。こんなので親は関係ないし!やるわけないだろ!
算数が得意な課長はそうおっしゃると思っていました。
算数って表現に何か悪意を感じるね。
算数が得意な課長さんのために、この箱の中に私の私財である1500円を追加しましょう。
まぁ一応それで計算上は期待値が1500円になるけどねぇ・・・いいよ面白いからやろうか。
わかりました。じゃあ、箱にお金を入れますねぇ・・・箱をわからないように混ぜて・・・さあ、どうぞ選んでください。
じゃあ・・・真ん中ので。
本当にそれでいいんですか?
ん?いいんだよそれで。
そうですか・・・わかりました。ところで、課長さんはモンティホール問題って知ってますか?
こういう仕事やってるんだから、もちろん知ってるよ。
じゃあ、話は早いです。いつもお世話になっている課長さんですから、本日は特別にモンティホールシステムを導入したいと思います。
・・・如実にきな臭いね
残りの二つの箱のうち、こちらが外れです・・・課長には、残った箱と手持ちの箱を交換する権利があります。さあ、どうしますか?
いいよ、変えなくても、そのままで。
課長さん、モンティホール問題知ってますか? 算数の得意な課長さんだからわかると思いますが、この場合、交換した方が当たる確率が倍になります
もちろん知ってるよ。算数得意だから。
じゃあ、交換って言うことでよろしいですか?
だから、変えないって言ってるだろ、初志貫徹だよ。
な、何でですか? いつも合理的な判断を大事にして、算数が得意な課長さんなのに!
正直言ってインチキ臭いんだよねぇ〜 主任さん、僕が箱を選択してから、ルールを追加したからね・・・多分、主任さんには箱の見分けがついてるんじゃないかな? 僕が当たりの箱を選んだのがわかったから、オプションを追加して取り返そうとしたんじゃないかな〜 ってヨミだよ。
・・・
じゃあ、箱開けさせてもらっていいかな?
・・・ダメです・・・嫌です。