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短編小説「By Your Side 」1

夜更けに、高速のパーキングエリアで、タカシはコーヒーをすすりながらカーラジオをつけた。

毎週欠かさず聴いている番組。
むかしの彼女に教えてもらったラジオ番組だ。

タカシは、急に思い立ったようにして、ここまでクルマを走らせて来ていた。

「夏美ともむかしここへ来たっけ…」

タカシは故郷の大学を卒業してから、東京でサラリーマンを数年勤めたが、性に合わず故郷へ帰ってきた。
そして故郷で仕事を探していたところ、高校時代に付き合っていた夏美と街で偶然再会した。

ケンカ別れというわけではなく、些細な気持ちのすれ違いから、どちらからともなく別れた二人。

二人は笑顔で近況報告を話した。

夏美は他県の大学を卒業した後、故郷に戻りOLをしているとのこと。
しかし、ここしばらく身体が芳しくなく、会社を休んでいるという。

「今、お母さんのクルマを待ってるの」
彼女はこれから病院に行くのだという。

二人はまたゆっくり話をしようと約束した。
「じゃあ、後でメールするよ」と
タカシは言い、
「うん、またね」と
夏美はクルマから手を振った。

つづく


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